調査日程のリスケはどう伝えるべきか?
※2018年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
事前通知の段階で日程調整し、いったん決定した
調査日時をリスケしたい場合もあろうかと思います。
調査日時のリスケを連絡した場合、
調査官によっては延期の連絡に対して、
「はい、そうですか」と簡単に受ける人もいますが、
食い下がってくる調査官もいるものと思います。
調査官としては他の調査との兼ね合いもありますし、
調査の時期が大幅にズレると、調査件数が
足りなくなるなど、リスケに応じたくない
場合もあり得るからです。
さて、調査日時をリスケしたい場合、
どのように調査官に伝えるべきでしょうか。
まず、調査日時のリスケについては
下記の規定が存在します。
「調査手続の実施に当たっての
基本的な考え方等について(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/120912/index.htm
第2 2(2)
事前通知を行った後、納税義務者から、調査開始日前に、
合理的な理由を付して事前通知した調査開始日時又は
調査開始場所の変更の求めがあった場合には、
個々の事案における事実関係に即して、
納税義務者の私的利益と実地の調査の適正かつ
円滑な実施の必要性という行政目的とを比較衡量の上、
変更の適否を適切に判断する(手続通達4ー6)。
ここではあくまでも、「合理的な理由」があれば
「適切に判断する」とだけ規定されていますが、
合わせて通達には下記規定があります。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm#a04_6
4−6(事前通知した日時等の変更に係る合理的な理由)
法第74条の9第2項の規定の適用に当たり、
調査を開始する日時又は調査を行う場所の変更を
求める理由が合理的であるか否かは、
個々の事案における事実関係に即して、
当該納税義務者の私的利益と実地の調査の適正かつ
円滑な実施の必要性という行政目的とを
比較衡量の上判断するが、例えば、
納税義務者等(税務代理人を含む。
以下、4−6において同じ。)の病気・怪我等による
一時的な入院や親族の葬儀等の一身上の
やむを得ない事情、納税義務者等の業務上
やむを得ない事情がある場合は、合理的な理由が
あるものとして取り扱うことに留意する。
このように、調査日時をリスケする
「合理的な理由」には「業務上やむを得ない事情」
も含まれることになっています。
ですから、単純に「その時期は都合が悪くなって」
ではなく、「どうしてもズラせない出張が入って」
「取引先の都合で大きな商談がそこになって」
など、「業務上やむを得ない事情」を
きちんと説明する必要があります。
これは、顧問である税理士(税務代理人)
の事情であっても同じと取り扱われます。
調査官に対して調査日時のリスケを連絡する場合、
上記通達の規定内容に合うように、
「合理的な理由」を伝える必要があります。
「合理的な理由」を伝えた上で、もし
調査官がリスケに応じてくれない場合は、
上記の通達を明示し、通達違反であることを
主張することになります。
調査日時のリスケにも規定が存在するのですから、
その規定に則っていれば問題ないのです。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。