• HOME
  •  › ブログ
  •  › 調査通知を正しく理解する
2022.09.02

調査通知を正しく理解する

※2021年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、前回までの
事前通知に関連して今回は「調査通知」を取り上げます。

まず、調査通知に関する概要については
下記の国税庁リーフレットをご覧ください。

「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

平成28年度税制改正によって調査通知が
新設された理由・背景としては加算税逃れの防止です。

以前は事前通知後~調査初日までに修正申告をした場合、
過少申告加算税10%がゼロになったわけですが、
これでは税務調査の実効性が疑われてしまいます。
事前に修正申告をすれば、ペナルティである
加算税が一切課されないことになるからです。

このため、国税が「税務調査を実施しますよ」という
調査通知なるものをすれば、その後の修正申告に対し
5%の加算税を課すことになったわけです
(調査開始後の修正申告に対して10%~の
加算税が課されるのは変わりません)。

事前通知の場合は、日程調整を確定しなければ
正式な事前通知にはならないわけですが、
調査通知は下記の3項目だけとされています。

●実地の調査を行う旨
●調査の対象となる税目
●調査の対象となる期間

事前通知と相違し、調査開始の日時も担当調査官も
通知項目に含まれていないことに留意してください。

従前から国税内では、税務調査を実施する旨を
伝えることを【調査宣言】と呼んでいますが、
これが加算税と絡んで明文化されたと考えてください。

あくまでも調査通知は、調査手続きに関する
改正事項ではなく、加算税に関する事項ですから、
根拠条文は国税通則法第65条第5項、また
国税通則法施行令第27条第3項となります。

以上から、調査手続きの流れを正確に表すと、

調査通知(3項目のみ)

調査官・税理士・納税者による日程調整

事前通知(全項目)

となるわけですが、実務上ほとんどのケースにおいて
事前通知と同時に(併せて)調査通知となりますので、
明確な区分をすることを意識することは少ないでしょう。

「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等に
ついて(事務運営指針)」第2章 2(1)

「なお、納税義務者に対して都合を聴取する際は、
法第65条第5項に規定する調査通知を併せて行う。」

一方で、国税内の異動前である6月下旬~7月初旬に、
7月10日以降の税務調査の連絡があった場合、
調査を担当する調査官が決まっていないので、
あえて調査通知のみに留めて、担当調査官から
後日正式な事前通知をするというケースもあります。

このようなケースでは、調査通知と事前通知を
明確に分けて調査手続きを行っていることになります。

最後となりますが、事前通知と同様に、調査通知も
(納税者にしなくても)税務代理人に対して行えば
有効となります。

税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)
問23 平成28年度税制改正において加算税に関する
規定が改正され、調査通知以後に修正申告等を提出した
場合には新たに加算税が課されることとなりましたが、
顧客納税者の方から税務代理を委任されている場合、
調査通知はどのようになりますか。

来週金曜の本メルマガでは、事前通知(と調査通知)
がない無予告調査について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

【久保憂希也執筆の場合】

著者情報

久保憂希也

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。