調査通知を正しく理解する
※2021年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、前回までの
事前通知に関連して今回は「調査通知」を取り上げます。
まず、調査通知に関する概要については
下記の国税庁リーフレットをご覧ください。
平成28年度税制改正によって調査通知が
新設された理由・背景としては加算税逃れの防止です。
以前は事前通知後~調査初日までに修正申告をした場合、
過少申告加算税10%がゼロになったわけですが、
これでは税務調査の実効性が疑われてしまいます。
事前に修正申告をすれば、ペナルティである
加算税が一切課されないことになるからです。
このため、国税が「税務調査を実施しますよ」という
調査通知なるものをすれば、その後の修正申告に対し
5%の加算税を課すことになったわけです
(調査開始後の修正申告に対して10%~の
加算税が課されるのは変わりません)。
事前通知の場合は、日程調整を確定しなければ
正式な事前通知にはならないわけですが、
調査通知は下記の3項目だけとされています。
●実地の調査を行う旨
●調査の対象となる税目
●調査の対象となる期間
事前通知と相違し、調査開始の日時も担当調査官も
通知項目に含まれていないことに留意してください。
従前から国税内では、税務調査を実施する旨を
伝えることを【調査宣言】と呼んでいますが、
これが加算税と絡んで明文化されたと考えてください。
あくまでも調査通知は、調査手続きに関する
改正事項ではなく、加算税に関する事項ですから、
根拠条文は国税通則法第65条第5項、また
国税通則法施行令第27条第3項となります。
以上から、調査手続きの流れを正確に表すと、
調査通知(3項目のみ)
⇒
調査官・税理士・納税者による日程調整
⇒
事前通知(全項目)
となるわけですが、実務上ほとんどのケースにおいて
事前通知と同時に(併せて)調査通知となりますので、
明確な区分をすることを意識することは少ないでしょう。
「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等に
ついて(事務運営指針)」第2章 2(1)
「なお、納税義務者に対して都合を聴取する際は、
法第65条第5項に規定する調査通知を併せて行う。」
一方で、国税内の異動前である6月下旬~7月初旬に、
7月10日以降の税務調査の連絡があった場合、
調査を担当する調査官が決まっていないので、
あえて調査通知のみに留めて、担当調査官から
後日正式な事前通知をするというケースもあります。
このようなケースでは、調査通知と事前通知を
明確に分けて調査手続きを行っていることになります。
最後となりますが、事前通知と同様に、調査通知も
(納税者にしなくても)税務代理人に対して行えば
有効となります。
税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)
問23 平成28年度税制改正において加算税に関する
規定が改正され、調査通知以後に修正申告等を提出した
場合には新たに加算税が課されることとなりましたが、
顧客納税者の方から税務代理を委任されている場合、
調査通知はどのようになりますか。
来週金曜の本メルマガでは、事前通知(と調査通知)
がない無予告調査について解説します。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
【久保憂希也執筆の場合】
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