負担付贈与があった場合の実務上の盲点
※2022年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
先日、税理士の先生からご質問いただいた
「負担付贈与があった場合の実務上の盲点」
をお届けします。
前提は以下のとおりです。
1.長男は父から土地の贈与を受ける代わりに
借入金を引き継ぐ。
2.土地の時価:5,000万円
土地の相続税評価額2,500万円
土地の取得価額:相続により取得のため不明
借入金残高:3,000万円
本件の課税関係はどうなるでしょうか。
特に有名なのは・・・
長男の贈与税計算上、土地の評価額は
相続税評価額ではなく、
「通常の取引価額(時価)」を用いる
必要があるということかと思います。
つまり・・・
通称、負担付贈与通達に従い
「通常の取引価額」が財産評価に強制されます。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/890329/01.htm
・長男の贈与税(特例税率)
5,000万円-3,000万円-110万円=1,890万円
1,890万円×45%-265万円=585.5万円
ここで、盲点になりがちなのは・・・
贈与者である父の課税関係です。
考え方は・・・
土地を贈与することにより、
3,000万円の債務を負担する必要がなくなったため
土地を3,000万円で譲渡し、債務を完済した
と考えることになります。
したがって、
父の譲渡所得(譲渡費用なし)は以下となります。
3,000万円-3,000万円×5%=2,850万円
2,850万円×20.315%=約579万円
仮に、本件の前提を以下へ変更してみます。
土地の時価:5,000万円
土地の相続税評価額2,500万円
土地の取得価額:3,000万円
借入金残高:2,000万円
変更したのは、
土地の取得価額と借入金残高になります。
この場合における譲渡所得(譲渡費用なし)は、
2,000万円-3,000万円=▲1,000万円(譲渡損失)
他に不動産を譲渡し譲渡益があった場合には
譲渡益と譲渡損の内部通算が可能となります。
しかしながら、取引価格2,000万円は
土地の時価5,000万円の2分の1である
2,500万円未満となり、
内部通算が制限されます(所法59[2])。
ここまでは、課税関係を確認しましたが、
負担付贈与を実行する際に
実務で最も注意すべきは
「負担付贈与を実行する前に金融機関の稟議を通すこと」
になります。
どこまで課税関係を考えても金融機関の稟議が通らなければ
絵に描いた餅になります。
課税関係だけではなく司法書士を巻き込みながら
金融機関の稟議を通すことが必要になるということを
認識しておく必要があります。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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