販売促進費と交際費の区分(後半)
※2022年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週水曜の本メルマガから引続き、
法人が支出する販売促進費が交際費に
該当する・しない要件について解説します。
まず、前回も取り上げた「販売奨励金」が
交際費にならない要件です。
販売奨励金は自社商品を販売してもらう
特約店・代理店などに支給するものですが、
原則として【金銭または事業用資産】の場合は
交際費にはなりません。一方でそれ以外の
モノを支給した場合、交際費に該当します
(根拠:措置法通達61の4(1)-7、
措置法通達61の4(1)-15(2))。
また、金銭支給・負担であっても、取引先に
対して旅行・観劇等を負担するものである場合、
交際費に該当することになります
(根拠:措置法通達61の4(1)-15(5))。
さらに、取引先に対して「景品」を支給した場合
であっても、少額物品(3,000円以下)であり、
支給者が景品の種類・金額を確認できるのであれば
販売促進費として交際費にはなりません
(根拠:措置法通達61の4(1)-5、
措置法通達61の4(1)-3(注)2)。
全体をまとめると、交際費にならない要件は、
・金銭(旅行・観劇等の負担ではないこと)
・事業用資産(取引先において棚卸資産・固定資産
として販売・利用・使用すること)
・少額物品(購入単価@3,000円以下)
のいずれかを支給している場合となります。
「売上割戻し」についても販売奨励金と
同様の支給要件であり、金銭・事業用資産・
少額物品の支給は交際費に該当しません
(根拠:措置法通達61の4(1)-3)。
前回のメルマガでは「商品券」を支給した
調査事案を紹介しましたが、商品券は確かに
金銭には該当しないものの、【少額物品】に
該当するかの検討は必要になります。
この区分で注意が必要なのは下記です。
●ビール券・図書券等のように、引換物品の種類が
特定されている商品引換券=その券面金額によって
少額物品かどうかを判定
●商品券のように、引換物品の種類が
特定されていない商品引換券=交際費
(商品券は少額物品には該当しない)
ですから、販売奨励金や売上割戻しにおいて、
取引先に対して「商品券」で支給している場合、
交際費に該当することから、顧問先に対する
注意喚起が必要となります(できれば
金銭支給にした方がいいでしょう)。
最後の注意点となりますが、販売奨励金や
売上割戻しなど、販売促進費全般に関して、
取引先(事業者)ではなく、取引先の従業員
(個人)に支給した金品については、
原則として交際費に該当することになります
(根拠:措置法通達61の4(1)-15(9))。
販売奨励金・売上割戻し等はあくまでも、
自社製品などをもっと販売してもらう目的で
支給することから、相手方は取引先であって、
取引先の従業員となると謝礼としての
要素が強くなることから注意が必要です。
販売促進目的とした支出に関しては、
交際費に隣接することから、税務調査では
常に確認事項・論点になります。
一方で、販売促進費に関して整理・区分して
理解できていない場合が多いので、
ぜひ上記を参考にしてください。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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