貸倒損失:債務免除のやり方
※2020年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回のメルマガから引続き、債務免除を
取り上げますが、今回は税務調査に耐えうる
債務免除のやり方について解説します。
まず、債務免除をする場合は
内容証明郵便を送付することが一般的です。
あくまでも債務免除の効力は、
民法519条
債権者が債務者に対して債務を免除する意思
を表示したときは、その債権は、消滅する。
ですが、この「意思を表示した」が口頭では、
税務調査では認められにくい(反面調査の
結果などによる)ことから、証拠として
内容証明郵便を残すことが有効になります。
ただし、相手方が不在が続いている状況、
もしくは受取りを拒否するなどの場合、
民法第97条第1項
意思表示は、その通知が相手方に
到達した時からその効力を生ずる。
から「到達」していないと判断され、
債務免除が有効でないとされても困ります。
ですから、到達しないリスクを勘案すると、
内容証明郵便と併せて、同一内容の
特定記録郵便を送付した方がいいでしょう。
特定記録郵便はポストに投函されますので、
あえて同一内容を2種類送付することで、
・内容証明:意思表示内容の証拠
・特定記録郵便:到達の証拠
になり、債務免除の法律要件を満たさない
というリスクはなくなります。
以上は相手方の連絡先・住所等が把握できる
場合になりますが、かなり以前の債権等で
現時点での連絡先・住所がわからない、
行方不明の場合はどうすべきでしょうか。
この場合、「公示」をすることになります。
民法第98条第1項
意思表示は、表意者が相手方を知ることが
できず、又はその所在を知ることができない
ときは、公示の方法によってすることができる。
公示の概要は
・裁判所に報告書を提出する必要がある
・官報掲載または区役所掲示より
「2週間で」意思表示の効力が発生する
・2,000円程度の費用
ですが、公示により効力が発生すれば、
裁判所が「到達証明書」を発行して
くれますので、これをもって
税務調査で提示できる証拠となります。
貸倒損失を計上する際、実務上は
債務免除が最も使われる手法ですが、
弁護士に依頼せずとも上記を知っていれば
証拠をきちんと残しながら債務免除が
可能ですので、ぜひ知っておいてください。
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