資格取得費用はどこまでの範囲か?
※2019年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回は「資格取得費用に給与課税が不要な要件」を解説しました。
今回は、その範囲について掘り下げて解説します。
該当する所得税基本通達36-29の2では
「職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、
又は免許若しくは資格を取得させるための」
とされていることから、その範囲における
税務判断が難しい部分もあります。
例えば、不動産会社が役員・社員に「宅建」の
免許を取得させることは、明らかに会社の
業務に直結しますので、給与課税は不要でしょう。
一方で「車の免許」のように、一般的な
資格・免許取得の場合は都度判断が必要になります。
不動産会社が顧客内覧など、営業のために
車の運転が「できた方がいい」では、
「職務に直接必要」とは言い難い側面もあります。
一方で、運転できなければ仕事にならない、
運送業におけるドライバーということであれば、
同じ運転免許でも話は変わってきます。
このように、どの資格等を取得させる費用なのか、
その範囲はあくまでも【職務に直接必要】か
どうかで判断し、その法人の業種・業態、
さらには社員の業務内容に照らして判断します。
また、範囲という論点においては、
「社長だけが資格取得した」ことが税務調査で
給与課税と指摘された事案も散見されます。
これは上記通達において、
「使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、
役員又は使用人に当該役員又は使用人としての
職務に直接必要な~」とされていることから、
該当者が「役員」であっても問題はなく、
【社長だけ】という否認根拠は誤っています。
「No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2601.htm
前回も解説しましたが、
資格取得費用の経済的利益については、
あくまでも従業員ごとに業務・職務内容は
相違するわけですから、その該当者のみが
資格取得することは何ら問題ないわけです。
ここまでは、経済的利益・給与課税ですから、
使用人=法人・個人問わずですが、同じように
資格取得費用等において個人事業主が必要経費に
できるのか、という論点については次回解説します。
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