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2022.06.10

質問検査権の要件・範囲を理解する(全体像)

※2021年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回から複数回にわたり
質問検査権の要件や、その範囲について解説していきます。

税務調査は実務上の慣例で行われることが多いわけですが、
質問検査権は条文を知らないと税務調査を知ったことには
なりませんので、これを機にぜひ理解してください。

さて、今回は質問検査権の要件・範囲を条文規定から
要素分解することにし、次回以降で各内容を
掘り下げて解説することにします。

まず全体像ですが、税務調査は

●国税側:質問検査権がある

●納税者側:受忍義務がある

という構成になっています。ただし、質問検査権には
当然にその要件や範囲などがあるという理解です。

実務上は質問検査権の条文を読む機会もないでしょうから、
今回は所得税・法人税・消費税に関する
質問検査権の条文を、骨子だけ抜き出します。

国税通則法第74条の2
国税庁、国税局若しくは税務署(略)の当該職員は(略)
所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査に
ついて必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に
応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に
関する帳簿書類その他の物件(略)を検査し、又は
当該物件(略)の提示若しくは提出を求めることができる。

この条文から、質問検査権の要件は下記に分解できます。

1 調査の必要性

質問検査権は「調査について必要があるとき」に
行使することができると規定されています。

この必要性については、4月30日に配信した本メルマガ
「税務調査の理由や必要性を問うべきですか?」で
すでに解説していますので、併せて復習してください。

2 調査の対象者

質問検査権の対象者は「当該各号に定める者」と
されています。この対象者・範囲ついては、
来週金曜の本メルマガで詳しく解説します。

3 調査の対象物

質問検査権の対象物は「その者の事業に関する
帳簿書類その他の物件」とされています。

帳簿書類は当たり前ですが、その他の物件とは
いわゆる不確定概念とされており、その範囲は
広く捉えられがちです。これについては、
再来週の本メルマガで解説します。

4 調査における具体的行為

質問検査権とは漠然とした言葉ですが、
具体的な行為としては「提示若しくは提出を
求めることができる」とされています。

「提示」と「提出」は似たような言葉ですが、
同時に使用されている以上は似て非なる法律行為です。

この点については、「留置き」と混同されやすいので
言葉の定義と具体的な行為を比較しながら、
最後に解説することにします。

税務調査は税理士・会計事務所にとって
「体で覚える」系の実務となりがちですが、
質問検査権の規定を知らなければ、不当な
税務調査を許すことになりかねません。

今回は質問検査権の全体像を整理しましたが、
来週以降は各論を解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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