• HOME
  •  › ブログ
  •  › 過大役員報酬が否認された数値基準
2017.06.07

過大役員報酬が否認された数値基準

※2017年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「過大役員報酬が否認された数値基準」ですが、

複数の判決、裁決を取り上げます。

まずは過大役員報酬(実質基準)の考え方です。

法人税法施行令第70条において、

〇当該役員の職務の内容

〇その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況

〇その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの
役員に対する給与の支給の状況

等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額

と記載されています。

これに関し、昨年11月11日のメルマガで過大役員報酬について

争われた残波事件を取り上げ、下記数値の流れであることを記載しました。

〇平成18年2月期を基準(100)とする。

〇平成19年2月期から平成22年2月期までの推移は下記。

〇売上金額:93.3→93.2→86.4→80.9

〇売上総利益:90.3→87.1→79.1→ 71.1

〇経常利益:64.8→6.4→20.5→27.5

〇同族役員に対する役員給与総額:109.3→212.2→210.5→130.2

〇同族役員A※に対する給与:125.0→255.2→260.4→104.2
※平成21年6月に代表取締役を辞任

〇同族役員Bに対する給与:100.0→206.5→201.9→170.4

〇同族役員Cに対する給与:100.0→160.0→153.3→120.0

〇同族役員Dに対する給与:100.0→197.9→191.7→150.0

〇従業員給与総額:104.9→107.8→121.3→106.1

〇従業員1人当たりの給与:99.1→96.4→103.1→85.9

現在、残波事件は東京高裁に控訴されていますが、

厳しい結果になるのではないかとも予想されています。

なぜなら、過去の判決等でも同様の数値比較がされてきているからです。

〇名古屋地裁(平成6年6月15日)

・社長(夫)の年収:360万円→年1,800万円
→類似法人の平均額の2.93倍、類似法人の最高額の2.14倍

・常勤取締役(妻)の年収:300万円→960万円
→類似法人の平均額の2.56倍、最高額の1.26倍

・使用人給料:前年比1.16倍、賞与:前年比1.64倍

・売上高1.43倍、売上総利益2.25倍 → 1.5倍が相当と判断

・1.5倍ベース:社長540万円、取締役450万円

・類似法人の平均額:社長620万円、取締役380万円

・上記をまとめた結果:社長620万円、取締役450万円

〇名古屋地裁(平成8年3月27日)

・売上金額:前年比1.53倍

・役員報酬:前年比2.7倍
→類似法人の平均額2.53倍、類似法人の最高額の2倍

・使用人給料:1.32倍

・類似法人の売上:1.56倍

・従業員給料総額:類似法人の平均額とほぼ同じ

・従業員給料最高額:類似法人の最高額の平均額の1.34倍

・適正報酬額は前年度の報酬の1.53倍(約1,650万円)を
超えることはない。

〇国税不服審判所の裁決(平成9年9月29日)

・基準となる事業年度の数値を100とする。

・売上:翌年115.6、翌々年107.2

・売上総利益:翌年100.2、翌々年109.4

・従業員1人当たりの平均給与額:翌年104.9、翌々年106.4

・従業員給与の最高額:翌年104.0、翌々年104.1

・A氏の役員報酬:翌年130.8、翌々年133.6

・B氏の役員報酬:翌年201.1、翌々年210.3

・C氏の役員報酬:翌年180.9、翌々年188.2

・適正役員報酬(非常勤)は10〜15万円(月額)程度と判断。

 

ぜひご参考にしてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。