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2024.02.09

遺産分割協議書における自署必要性

※2023年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

これまで複数回は税制改正を題材としましたが、
今回からは別テーマでお届けします。

今回のテーマは
「遺産分割協議書における自署必要性」です。

配偶者の税額軽減特例(相法19の2)
小規模宅地等の特例(措法69の4)等では、
各適用対象者が相続又は遺贈により取得する
適用対象となる相続財産につき、
遺産分割協議が確定していることが
要件となっています。

いわゆる「分割要件」です。

・配偶者の税額軽減特例での分割要件
(相法19の2(2))

・小規模宅地等の特例での分割要件
(措法69の4(4))

そのため、分割が確定していることを確かめるために、
・遺言の写し
・遺産分割協議書の写し
の添付が求められます。

遺言においては、
特定財産を相続人に相続させるか
相続人以外に特定遺贈させることで
要件を満たすことになります。

遺言がない場合には、
相続発生後の遺産共有状態から
誰が相続したかを確定するために
遺産分割協議が必要となります。

私文書としての遺産分割協議書は
「署名」や「実印での押印」でなくても
効果としては問題ありません。

しかしながら、相続登記などでは
「実印での押印」と印鑑証明書の添付が必要となります。

上記の扱いは、相続税申告でも同様です。
「実印での押印」と印鑑証明書の添付が必要となります。

根拠は以下のとおりです。

・相続税法施行規則第1条の6第3項第一号
3 法第十九条の二第三項に規定する
財務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 遺言書の写し、財産の分割の協議に
関する書類(当該書類に当該相続に係る
全ての共同相続人及び包括受遺者が自署
し、自己の印を押しているものに限る。)
の写し(当該自己の印に係る印鑑証明書
が添付されているものに限る。)その他の
財産の取得の状況を証する書類

・租税特別措置法施行規則第23条の2
第8項第一号ハ
8 法第六十九条の四第七項に規定す
る財務省令で定める書類は、次の各号
に掲げる場合の区分に応じ当該各号に
定める書類とする。
一 法第六十九条の四第一項第一号に
規定する特定事業用宅地等である
小規模宅地等について同項の規定の
適用を受けようとする場合
次に掲げる書類
(中略)
ハ 遺言書の写し、財産の分割の協議
に関する書類(当該書類に当該相続に
係る全ての共同相続人及び包括受遺者
が自署し、自己の印を押しているものに
限る。)の写し(当該自己の印に係る
印鑑証明書が添付されているものに限る。)
その他の財産の取得の状況を証する書類

それでは、記名ではなく
自署が求められるのかについては、
相続登記では記名でも問題ありません。

しかしながら、相続税申告では扱いが異なります。

上記2つの根拠条文では

「当該書類に当該相続に係る全ての
共同相続人及び包括受遺者が「自署」し・・・」

となっていることが確認できます。

ただし、実務上は記名であっても
課税庁側は問題なく受け付けている例
が多いように感じますが、特例適用に
関するリスク回避のために、
遺産分割協議書への記載は当初から
「自署」押印(実印:印鑑証明書の要添付)
であることが望ましいといえます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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