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2022.07.15

重加算税を受け入れるかどうかは顧問先の判断

※2021年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜のメルマガまで、3回にわたって
調査官が重加算税と指摘しがちな【誤った論理】について
解説してきました。何の根拠もない・不当な重加算税の
指摘には反論すべきであることは異論がないと思います。

一方で、税務調査の現場でよくあることとして、
調査官から重加算税と併せてバーター(交換条件)を
持ちかけられることも多いかと思います
(実際に相談・質問としても多いです)。

「重加算税を受け入れるなら○○はしませんよ」
という調査官からのバーター提案ですが、
実質的に脅しに近い内容もあります。

よくあるバーター内容は下記のようなものでしょう。

●「重加算税を受け入れないなら調査を仕切り直すので、
より時間がかかりますよ」

このバーターは、経営者であれば時間がかかるのを
嫌がることをよく知っていることから提案されます。

これは、細かい否認項目が多くて全項目を精査するのに
時間がかかりそうな場合、もしくは6月の調査で
7月まで繰り越すと担当者が変わるというタイミングで
持ち出されやすい提案内容です。

●「重加算税を受け入れないなら証拠固めが
必要なので反面調査を実施します」

これはさも、重加算税を課すために反面調査も辞さない
という内容ですが、特に売上比率が高い顧客がいる
場合に提案されることが多いです。

●「重加算税を受け入れるのであれば、××以外の
否認項目は目をつぶりますから」

これは調査官も否認項目の中に譲る余地があって、
増差税額が減るのだから重加算税は受け入れて欲しい
という金額的なバーターですね。

これを受け入れた場合、実際に追徴税額(本税+附帯税)
が減るケースもあります。

さて、今回のメルマガでお伝えしたいのは、
上記のようなバーターを受け入れるかどうかは
あくまでも【顧問先の意向が優先】ということです。

なぜなら、顧問税理士が重加算税の反論に
(顧問先の意向に反して)頑張ってしまったがゆえに、
「税務調査が長引いた」「反面調査をされた」
「追徴税額が増えた」など、むしろ顧問先の
満足度が下がることも想定されるからです。

先日相談を受けた税務調査の事案では、顧問税理士が
重加算税については適正な反論が可能だと考え、
反論のための書面まで作成するつもりでしたが、
顧問先社長が重加算税を(あえて)受け入れました。

春から調査開始でしたが、6月まで長引いたうえに
「7月になれば担当者が替わって仕切り直し」
「大手の発注元に反面調査を実施する」
「当初5つあった否認指摘項目が2つに減った」
など重加算税を受け入れた要因は多数ありました。

税理士としては納得できない様子ではありましたが、
重加算税を受け入れるデメリットをきちんと説明した
うえでの顧問先社長の判断ですから、
何がベターな選択かは顧問先当事者の問題です。

なお、上記「重加算税を受け入れるデメリット」
についてこそ、税理士が顧問先にきちんと
認識してもらうべき内容です。

これについては下記記事をご覧ください。

「重加算税が賦課される4つのデメリット」

税務調査も、ただただ調査官の指摘に
反論すればいいわけではない、ということは
きちんと認識しておくべきでしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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