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2021.08.27

青色専従者給与の支払・増額要件

※2019年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回は「専従者給与と専従者控除の異同点」について解説しましたが、今回は
青色専従者給与の支払・増額要件について解説します。

まず、青色専従者給与は実際に「支払われた」こと
が要件となっています(所得税法第57条)。

前回も紹介しました、国税庁ホームページの
2(3)でも下記のように記載があります。

「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
「届出書に記載されている方法により支払われ、
しかもその記載されている金額の範囲内で
支払われたものであること。」

法人税の考え方では、定期同額等の要件を
満たしさえすれば未払計上しておき、
役員報酬を損金にすることができるわけですが、
所得税においては、届出を出したからといって、
遡り処理は認められないことになります。

この点は、税務調査でも問題になりやすく、
銀行振込でなく現金支払と主張する場合、
事実認定の問題になろうかとは思いますが、
明確な出金履歴でもない限り、
調査でモメる可能性が高いでしょう。

一方で、所得税関連の書籍やデータベースで
多数解説されているとおり、一時的な未払い
であれば青色専従者給与が必要経費になる
とも考えられています。

期中はきちんと支払いをしているが、
年末に資金繰りの関係で支払いできずに未払い、
などが認められる具体的ケースに該当します。

また、青色専従者給与が必要経費として
認められる額ですが、「届出の金額範囲内」
であることが原則です。

これを増額する場合は原則として、
変更届出書を提出する必要があります。

一方で、青色専従者給与の届出には
「昇給の基準」という欄があり、
その基準に従った範囲内の給与支給は
認められることになります。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/13_14.pdf

この国税庁サイトにある届出の「書き方」には、
「「使用人の昇給基準と同じ」(専従者の場合)」
「毎年おおむね○%(又は××円)」などと記載します。」
とあります。

例えば「従業員の評価内容と連動する」と
記載し、実際に専従者を除く従業員給与が
5%上昇しているのであれば、それと連動した
青色専従者給与の増額分は認められるでしょう。

先日実際にあった税務調査において、
届出に「物価上昇に応じる」と記載し、
毎年青色専従者給与を数千円~1万円/月
増額している事案の相談がありましたが、
昨今はデフレ基調で物価上昇率が低いため、
「昇給の基準」には物価上昇率に準じない方が
いいと考えます。

この点を無難に考えるのであれば、
増額する場合は変更届を提出すべきでしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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