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2021.10.26

顧問先が報酬を滞納した場合の対応

※2020年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

コロナ禍により、顧問先が顧問料・決算料などの
報酬を未払い・滞納することも多くなりがちな
状況にあるわけですが、このような際に
【法的に】間違った対応をとってしまう
税理士・会計事務所が多いように思います。

・報酬が未払いの場合には、試算表や決算書を
渡さないという対応をしている

・顧問契約を解除した後に会計データの
引渡しを要請された場合には拒否する

などがよくある対応方法かと思います。

なお、本メルマガではパターン分けすると
複雑になりますので、継続的な顧問契約と
記帳代行依頼があるケースで考えます。

まず、会計の元資料(請求書や領収書など)
については、返還義務があるのは
わかりやすい点かと思います。

次に、試算表の提出や決算書(控え)を
渡すことですが、報酬が未払いであっても
原則として提出義務があると解釈されます。

あくまでも、顧問先の依頼にもとづいて
試算表および決算書の作成を受託している
契約でしょうから、

●試算表や決算書の納品義務がある

一方で、

●報酬は債権として回収すべき問題

と切り分けることになります。

ただし、これは顧問・委託契約書で
規定していれば話は別です。

例えば、「月次顧問料または決算料等の
報酬が未払いである場合、その報酬に
対応する試算表・決算書等については
提出・納品できません」などの内容です。

税理士・会計事務所として最大限の
リスクヘッジをしたい場合は、上記の
内容を契約書に盛り込むべきでしょう。

また、顧問先と解約になった後に
モメやすい「会計データ」引渡しの論点。

平成25年9月6日東京地裁判決が有名で、
本メルマガでも取り上げたことがあります。

「会計データは誰の物か?」

この判決文は全文を読んで、切り分けを
きちんと理解して欲しいのですが、論点を
切り出して結論を書くと下記になります。

●税理士事務所が事務所の会計ソフト
に入力している限りにおいて、
「会計データ」の引渡し義務はない
(顧問先が入力している、またクラウドで
データ共有されいてる等であれば別かも)

●あくまでも「会計データ」の引渡しを
争った裁判であり、入力の結果(元帳など)
は引渡し義務があると解釈される
(この裁判では、総勘定元帳を
印刷して送付・納品していた)

この裁判が有名で、かつ前提が複雑である
ことから、試算表・決算書等の納品と、
途中経過である会計データの引渡し義務が
ごっちゃになっている方が多いです。

ぜひ、注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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