3年分に脱税行為があれば7年分の修正申告が必要なのか?
※2022年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
さて、今回は税務調査に関して質問・相談が多い
調査対象期間と除斥期間の関係について解説します。
特に、偽りその他不正の行為(脱税)があった場合の
7年課税については誤りやすいので注意が必要です。
まず、事前通知が3年分である場合、調査の中で
調査対象期間が5年に延伸される要件については
下記の記事(過去メルマガ)を参考にしてください。
調査対象期間に偽りその他不正の行為がない場合、
更正の除斥期間が最大5年であることから、
調査対象期間も最大遡及年数は5年となります。
一方で、3年の事前通知で実地調査が行われ、
売上除外など偽りその他不正の行為があった場合、
更正の除斥期間は7年であることから、
調査対象期間は最大7年遡及となります。
それでは、下記のようなケースは
何年分の修正申告に応じる必要があるでしょうか?
3年の事前通知で実地調査
⇒
偽りその他不正の行為があった(連年の売上除外など)
⇒
調査対象期間が3年から7年に延伸
⇒
4~7年前には偽りその他不正の行為がなかった
(全期間において脱税ではない非違項目はあった)
このケースにおいて、修正申告する年数は
「5年」であって7年ではありません。
法律要件を3つに分けて整理すると、
●事前通知の調査対象期間において
「非違が疑われることとなった場合」に該当する
=調査対象期間が延伸される要件を満たしている
●偽りその他不正の行為がなくとも、
更正の除斥期間は5年とされている
=5年分の修正申告に応じる必要がある
●6~7年前に偽りその他不正の行為がある場合に
6~7年前の修正申告が必要となる
=3年もしくは5年分に偽りその他不正の行為が
あったからといって6~7年前に脱税がなければ
6~7年前の遡及はされない
という理解になります。つまり、調査対象期間に
脱税があったとして調査対象期間が7年分に
延伸されたとしても【6~7年前に脱税がなければ
6~7年前の修正申告は不要】ということです。
この点、調査官の理解が誤っており、
6~7年前に(脱税ではない)非違項目があれば
修正申告を勧奨してくるケースが多いのですが
これは間違いということです(繰り返しますが
5年分の修正申告は必要となります)。
このような誤った理解のもと、6~7年前に
偽りその他不正の行為がないにもかかわらず
修正申告を提出してしまった場合、
法律要件を満たさない修正申告になりますので、
過誤納を請求することができます。
調査対象期間と除斥期間の関係については、
税務調査で頻出するわけですが、
なかなか理解されていない論点ですので、
ぜひ整理して理解してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
著者情報