7年内贈与加算の適用時期に関する経過措置の考え方(条文)
※2023年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、
「7年内贈与加算の適用時期に関する経過措置の考え方(条文)」です。
税制改正大綱が発表される時期になりました。
改めて、税制改正の流れを
令和5年度税制改正を使って
まとめてみたいと思います。
■令和5年度税制改正
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/index.htm
令和5年2月3日:
所得税法等の一部改正する法律案を国会に提出
令和5年3月28日:成立
令和5年3月31日:公布
令和5年4月 1日:施行
この流れで法律が施行されました。
ご存知のとおり、相続税法の改正は
令和6年1月1日から施行されますが、
法律上では、どのように規定されているのでしょうか。
■所得税法等の一部を改正する法律
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/st050203s.htm
新旧対照表のリンクになります。
こちらを確認いただきますと、
第1条:所得税法
第2条:法人税法
第3条:地方法人税法
第4条:相続税法
と並び、これが第18条まで続き、
最後に附則がつきます。
■施行期日に関する条文
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/st050203s_19.pdf
附則第1条に施行期日が制定されます。
第1条には、
「令和5年4月1日から施行する」
と規定されています。
ただし、第1条各号では、
その各号で定める施行期日が適用される
ことになっています。
第3号:令和6年1月1日
イ:
第4条の規定(相続税法)
附則第19条の規定(3項、7項、10項、12項、15項を除く)
第4条、つまり、
改正贈与課税が含まれる相続税法は
令和6年1月1日に施行されることになります。
附則第19条、つまり、
7年内贈与加算の経過措置については、
第1項、第2項は、令和6年1月1日ですが、
第3項は、除かれています。
第1項、第2項、第3項の意義は
後述します。
■7年内贈与加算における経過措置
附則第19条:
相続税法の一部改正に伴う経過措置
第1項:(一部省略)
新相続税法第19条第1項(7年内贈与加算)の規定は、
令和6年1月1日以後に贈与に取得する財産に係る相続税について適用し、
同日前に贈与により取得した財産に係る相続税については、なお従前の例による。
つまり、
令和5年12月31日までの贈与
については、
旧相続税法19条1項の規定が
適用されることになります。
また、第1項の施行期日は
附則第1条第3号イ
により、令和6年1月1日となります。
第2項:(一部省略)
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に相続又は遺贈
(死因贈与及び相続時精算課税を含む。以下第3項も同じ。)により
財産を取得する者については、前項(第1項)の規定にかかわらず、
新相続税法第19条第1項の規定を適用する。この場合において、
同項(新相続税法19条1項)中「7年」とあるのは、「3年」とする。
つまり、
令和6年1月1日から令和8年12月31日
までの相続発生により、相続又は遺贈により
財産を取得した者については、
新相続税法19条1項で7年と定めていても
3年内贈与加算となることを意味します。
また、第2項の施行期日は
附則第1条第3号イ
により、令和6年1月1日となります。
第3項:(一部省略)
令和9年1月1日から令和12年12月31日までの間に
相続又は遺贈により財産を取得する者に係る
新相続税法第19条第1項の規定の適用については、
同項(新相続税法19条1項)中「当該相続の開始前7年以内」とあるのは、
「令和6年1月1日から当該相続の開始の日までの間」とする。
つまり、
令和9年1月1日から令和12年12月31日
までの相続発生により、相続又は遺贈により
財産を取得した者については、
新相続税法19条1項で7年と定めていても
何年前に戻るのではなく、
令和6年1月1日から相続開始日までに
贈与により財産を取得した分と、一律に
考えることになります。
また、第3項の施行期日は
附則第1条第8号ハ
により、令和9年1月1日となります。
ちなみに、
3年超7年以内の贈与財産につき
100万円控除が適用されることになりますが、
この規定が適用されるのは、
3年超の贈与財産の戻しがスタートする
上記の第3項、つまり、
令和9年1月1日以降の相続
からとなります。
そして、
令和13年1月1日以降の相続からは
新相続税法19条1項が条文とおり
そのまま適用されることになります。
今後、数年間は
新相続税法19条1項を読む際は
改正附則を一緒に読む必要があることに
留意してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
著者情報