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2021.09.10

BSが全てゼロでも65万円控除は適用できるのか?

※2020年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回の「期限に間に合わない申告をどう対応すべきか?」
に続いて、今回は「とりあえずの」期限内申告を
する際の注意点について解説します。

前回は、資料・集計など申告期限に間に合わない場合でも、
期限後申告するデメリットが大きいことから、
とりあえずでも期限内申告すべきと伝えました。

ここで、「とりあえずの期限内申告」とは
どのような内容なのかが難しい部分ではあります。

一般的には、「とりあえずの期限内申告」をする場合、
ゼロ申告することになります。

所得税の申告書記載要件は、所得および税額であり、
それらがゼロであっても、期限内申告書として
取扱われるからです。

一方で、若干難しい問題が、事業・不動産所得者の
65万円控除の要件となる貸借対照表です。

65万円控除の要件として、「これらの所得に係る
取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により
記帳していること」が挙げられることから、
貸借対照表を全てゼロで添付・申告することは、
要件を満たしていない、と指摘される可能性があります
(実際に仕訳してないからゼロになるわけですから)。

「No.2072 青色申告特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

元国税である私の感覚で言うと、
「貸借対照表が全てゼロであっても、
指摘されることはほとんどない」と認識しますが、
私にあった過去の質問等を振り返ってみると、
貸借対照表がゼロどころか、わりと細かい論点で
否認指摘を受けているケースも散見されます。

「65万円控除の要件「正規の簿記」とは何か?」

ですから、65万円控除を適用する申告については、
保守的(否認リスクを下げる)に考えて、
ゼロ申告ではなく、期限内に集計等ができるところ
までの部分で申告をした方が無難ともいえます。

集計期間等が一部であっても、複式簿記に基づいた
申告をしているのであれば、65万円控除は
否認されないものと考えます。

また、「とりあえず期限内申告する」場合は、
正確な所得・税額を計算した後で修正申告または
更正の請求をするわけですが(可能であれば)、
できる限り修正申告になるようにすべきでしょう。

これは、更正の請求をすると、税務署から
その説明や資料等を求められ、面倒になる
ケースが多いからです。また、その説明・資料等で
更正の請求の内容が明確にならない場合、
税務調査に振り替えられるリスクも高くなります。

(自主)修正申告であれば、説明資料を
求められることもなく、そのまま提出して
終わりになるものと考えます。

当初申告において調整が可能であれば、
延滞税の不利益は承知しながらも、
修正申告になるように申告してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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