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2023.04.28

死亡保険金の活用に関する複眼的視点

※2022年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「死亡保険金の活用に関する複眼的視点」です。

相続対策の基本といえば・・・
1.争族対策
2.納税資金対策
3.節税対策
の3本柱が有名かと思います。

死亡保険金といえば・・・
No3 節税対策で有名な手法で
500万円 × 法定相続人の数
が非課税というのは誰でも知るところです
(相法12(1)五)。

死亡保険金 = 節税対策
という視点だけでなく、実は
全ての対策要素があることを解説します。

以下のケースを考えます。
■親族構成
夫(被相続人:100%株主兼社長。株価高め)
妻(相続人)
長男(相続人:専務取締役。事業後継者)
長女(相続人:会社とは関係なし)

父が税理士から提案された節税対策として
死亡保険金の非課税枠を実行しました。
内容は以下のとおりです。

契約者:被相続人(夫)
被保険者:被相続人(夫)
保険金受取人:相続人(妻)
保険金額:1,500万円

この契約形態で特に問題ないでしょうか。

おそらく節税の立場からは
配偶者の税額軽減特例を考えると
保険金受取人は妻ではなく子が
よいと判断できるかと思います。

また、長男・長女どちらでも
節税効果は変わらないため、この判断は
あくまでNo3節税対策の視点のみによります。

相続・事業承継対策を考える場合、
3つの視点での検証を同時並行させる
必要があると考えます。

自社株を相続するのが事業後継者である
長男と考えれば、納税資金(相続税)が
多額になるのは長男となります。

このように考えれば、
長男に確実に資金を運ぶ必要があるため
保険金受取人は「長男」へ
変更することが必要となります。

生命保険は受取人指定できることから
遺言と同じ効果を持ちます。

そうすると・・・
相続対策3本柱の一つ
No1争族対策の代表格である遺言と
同じ効果を持つことになります。

今回であれば、適切な受取人である
長男を受取人とすることで
No1争族対策の実行が完了することになります。

また、保険金を受け取った長男は
納税金(相続税)に充当することが可能となります。

この観点を考えると・・・
No2納税資金対策も兼ねることになります。

受取人を適切にすることで
全ての対策効果を発揮できるのが生命保険といえます。

その意味で受取人を誰にするか、
契約当初の設定・当初の保険受取人から変更する場合も
慎重に検討する必要があるといえます。

最後に・・・
当初の保険受取人から変更する際に、
契約者である夫が認知症を発症している場合
契約者の変更ができないことに留意が必要です。

それは・・・
保険金受取人の変更も法律行為であるからです
(保険法43条(2))。

対策は迅速に行うのが望ましいといえます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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