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2021.09.30

どの会費が必要経費にならないのか?

※2020年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

これまで個人の確定申告における
注意点を解説してきましたが、今回が最終回です。

所得税における「諸会費」の必要経費性は判断が難しく、
【事業関連性】があるのか、で判断することになります。

例えば、税理士における税理士会の会費は
事業を行ううえで必須の支出ですが、一方で
「政治連盟会費」は事業関連性がないため、
必要経費にはなりません。

いわゆる「同業者団体」や「事業関連団体」
(商工会議所・青色申告会・中小企業協同組合など)
の会費については、通達の規定により
明確に必要経費になることが定められています。

所得税基本通達37-9(農業協同組合等の賦課金)
農業協同組合、水産加工業協同組合、中小企業協同組合、
商工会議所、医師会等の組合員又は会員が法令又は
定款その他これに類するものの規定に基づき業務に
関連して賦課される費用は、繰延資産に該当する部分の
金額を除き、その支出の日の属する年分の当該業務に
係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

一方で、ロータリークラブの会費については、
必要経費にならないと判断されています
(平成17年4月26日裁決)。

上記裁決において、請求人である医者は
患者の紹介や情報提供があることによる必要経費性を
主張しましたが、それを明確にすることができない
ことから否認されました。

同じくロータリークラブの会費が否認された
事案(司法書士)もあります。

平成26年3月6日公開裁決
http://www.kfs.go.jp/service/JP/94/03/index.html

ロータリークラブに限らずですが、広く
「同業者の集まり」については、親睦目的である
ことが多く、事業に直結する勉強会でもない限り
必要経費にならないと判断されます。

また、歯医者の諸会費等(同窓会費・共済負担金・
英会話研修費・旅費交通費・同窓会主催旅行の参加費用等)
の必要経費性を争った公開裁決では、
すべての支出について必要経費にならないとされました。

平成13年3月30日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/JP/61/12/

一般的に納税者の考え方として、(何となく)
仕事関連の会費であれば必要経費になるものと
考えていることがほとんどかと思いますが、
実際には判決・裁決において必要経費にならないと
判断された積み上げがある以上、税務調査では
否認される・反論できないケースが多いでしょう。

このあたりは、事前に顧問先・関与先への
説明は必須でしょう。ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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