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2025.05.14

回収可能性がわずかでもある場合の債務免除は貸倒損失になるのか?

※2024年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜の本メルマガでは貸倒損失の申告調整(別表加減算)
について解説しましたが、今回は債務免除(債権放棄)を
行う場合に、その債権の回収可能性がわずかでもある場合、
寄附金認定のリスクがあるのかについて解説します。

まず、回収をあきらめた債権(対第三者)について、
貸倒損失を確実に認めさせたければ=税務調査での
否認リスクを下げたければ、9-6-2や9-6-3を
適用せず、債務免除で9-6-1(4)を適用すること、
また第三者に対する債務免除は同通達に規定する
「債務者の債務超過の状態が相当期間継続」などの
要件を満たさずとも貸倒損失として認められること
については、私が下記でしっかり解説しています。

「税務調査で否認されない貸倒損失/徹底解説テキスト」
https://kachiel.jp/lp/20240603_data/

さて、債務免除をする際に、貸倒損失になるのか
疑義が生じるケースとして、回収可能性がわずかでもある
相手方・債権に対して債務免除をすると
税務調査において寄附金認定されないかという点です。

典型例は、相手方に対して保証人を設定している場合、
もしくは担保を設定している場合でしょう。

保証人の設定は一般的に、取引先法人が売掛金等の
支払いが遅滞し始めた~代表者(もしくはその親族)を
連帯保証人にする、というケースが多いと思いますが、
取引先が個人事業主、保証人がその親族のケースにおいて、
下記の国税庁質疑応答事例があります。

「保証人がいる場合の貸倒れ」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/05.htm

この質疑応答事例は9-6-2の適用判断ですが、
保証人に返済能力がない場合、債務免除によって
債権を切り捨てての貸倒損失も認められることになります。

また、担保設定がある場合ですが、同じように
国税庁サイトに下記の質疑応答事例があります。

「担保物がある場合の貸倒れ」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/04.htm

ここに明記されているとおり、たとえ担保があっても
「担保物の処分による回収可能額がないとは言えない
ケースであっても、回収可能性のある金額が少額に
過ぎず、その担保物の処分に多額の費用が掛かることが
見込まれ、既に債務者の債務超過の状態が相当期間
継続している場合に、債務者に対して書面により
債務免除を行ったときには、その債務免除を行った
事業年度において貸倒れとして損金の額に算入されます
(法人税基本通達9ー6ー1(4))」とされています。

さらに、法的に一部の債務カットが行われる場合も、
たとえ回収可能性がわずかでもあるケースであっても、
あえて債権の切り捨てを選択した場合には、
貸倒損失が認められることになります。

本来であれば、取引先が民事再生法・会社更生法の
適用を受けた場合、裁判所が債権の切捨てに関して
「認可の決定」をしなければ9-6-1(1)の
適用がないわけですが、「認可前」であっても
貸倒損失が認められることは下記に明記されています。

「更生手続中における貸倒損失」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/01.htm

このように、債務免除によって確実に貸倒損失を
計上したいが、保証人や担保の設定があるから、また
法的な債権カット前だから、貸倒損失が認められない
=寄附金認定されると考えるのは早計なのです。

債務免除は、相手方に対する経済的利益の供与と
事実認定されれば寄附金認定されるわけですが、
一方で「可能なのであれば回収したいが回収できない」
という状況なのであれば、こちらからあえて
債権を切り捨てることを明示する法律行為ですから、
当然に貸倒損失として認められることになります。

私が貸倒損失についてのみ約5万字で解説した
「税務調査で否認されない貸倒損失/徹底解説テキスト」
に関しては、537事務所の
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https://kachiel.jp/lp/20240603_dvd/

本解説テキストの販売は【本日限り】となります。
明日以降は購入することができませんのでご留意ください。

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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