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2025.05.14

小規模宅地等の特例(老人ホーム入居)に関する条文確認

※2024年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下勇人です。

今回のテーマは、
「小規模宅地等の特例(老人ホーム入居)に関する条文確認」です。

先日、クライアントから相談を受けた質問を
少し深堀してみたいと思います。

■質問内容
・高齢の母が3年前に老人ホームに入居している。
・老人ホームに入居する直前、母は1人暮らし。
・持ち家ありの長男家族が実家に戻りたい。
→ 小規模宅地等の特例の適用は可能か否か?

■検証
平成25年度税制改正により
老人ホームに入居した場合における
小規模宅地等の特例の適用が緩和されたのは
ご存知のことかと思います。
(平成26年1月1日以後の相続で適用)

改正内容としては、
・相続開始直前での居住用判定の例外として
 老人ホーム入居直前判定を含めたこと
となります。

つまり・・・
改正前は、終身利用権を取得した場合など
は小規模宅地等の特例を適用できない状況でした。
具体的には、特別養護老人ホームの入居者など
に限定されていたように思います。

改正後は、上記の弊害も解消され、
一般の有料老人ホームに入居した場合でも
一定の要件下において、小規模宅地等の特例の
適用が可能なケースが各段に増加しました。

一定の要件とは、大別すると2つあります。
1.老人ホームの対象施設の明確化
  相続開始直前に要介護認定等を受けている
 (措令40の2(2)、措通69の4-7の3)

2.その建物を事業の用(貸付も含む。)又は
被相続人等(被相続人と被相続人の
老人ホーム等への入所の直前において
生計を一にし,かつ,その建物に引き続き
居住していた被相続人の親族を含む。)
以外の者の居住の用に供していないこと

(措令40の2(3))

今回の質問においては、
上記1は満たすものとして
上記2の検証をします。

■条文への当てはめ(措法69の4(1))
結論:小規模宅地等の特例の要件を満たさない


被相続人の居住の用に供されている場合について,
居住の用に供することができない事由として政令
(措令40の2(2))で定める事由により

→ 上記1のため要件を満たす


相続の開始の直前において当該被相続人の
居住の用に供されていなかった場合

→ 相続開始直前では老人ホームに
  入居しているため、要件を満たす


(政令(措令40の2(3))で定める用途
に供されている場合を除く。)

→ 老人ホームに入居しており、
相続開始直前には居住の用には供していない
→ ただし、上記2に該当する場合には、
  相続開始直前に居住の用に供されている
  ものとは扱わない
→ 具体的には
 ・事業の用に供している
 ・被相続人等(※)以外の居住の用に供している
 場合には、要件を満たさないことになる
(※)
・被相続人
・被相続人の老人ホーム等への入所の
直前において生計を一にし,かつ,
その建物に引き続き居住していた
被相続人の親族
→ 今回の質問は、持ち家ありの長男家族が
  母の老人ホーム入居後に戻ることを想定している
  ため、被相続人等(※)以外の居住の用に
  供されているため、要件を満たさない
→ この段階で、小規模宅地等の特例を適用不可


における当該事由により
居住の用に供されなくなる直前の
当該被相続人の居住の用が含まれる

→ 老人ホーム入居直前に居住の用に
供されているが、上記要件を満たさないためNG

次回は、今回の内容とは異なるケースを
もう少し掘り下げていきたいと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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