業務使用割合50%以上なら必要経費になるのか?
※2020年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回は、所得税の必要経費について
所得税法37条・45条から、施行令96条までを
概略的に解説しました。それを受けて、
今回は必要経費の基本通達を解説します。
俗にいう、必要経費の「50%ルール」が
間違って理解されていることが多いので注意です。
「50%ルール」とは下記の通達を指しています。
所得税基本通達45-2(業務の遂行上必要な部分)
令第96条第1号に規定する「主たる部分が
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を
生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、
その支出する金額のうち当該業務の遂行上
必要な部分が50%を超えるかどうかにより
判定するものとする。ただし、当該必要な部分の
金額が50%以下であっても、その必要である
部分を明らかに区分することができる場合には、
当該必要である部分に相当する金額を
必要経費に算入して差し支えない。
この通達にある施行令は、下記です。
所得税法施行令第96条(家事関連費)
法第45条第1項第1号 (必要経費とされない
家事関連費)に規定する政令で定める経費は、
次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を
生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、
その必要である部分を明らかに区分することが
できる場合における当該部分に相当する経費
ここで全体をまとめると、施行令において、
(1)業務の遂行上必要であること
かつ
(2)必要経費と家事費との区分が
客観的に明確に区分できるもの
が(家事関連費として)必要経費になるのですが、
この(2)の部分において、
【明確に区分できない場合】業務の遂行上
必要な部分が50%を超えるかどうか
で判断・判別するというのが通達の規定です。
「業務使用割合50%を超える=全額必要経費」
ではないことに注意が必要で、いまだに
まことしやかにこの50%ルールが間違って
理解されているのを耳にします。
当然ですが、明確に区分できるのであれば、
半分以上でも半分以下であっても、
その割合で按分計算したうえで
必要経費額を算出することになります。
次回は、税務調査でも
問題になりやすい、必要経費の「立証責任」
について解説します。
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