法人調査における役員とその家族の口座は調査対象か?
※2020年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今年に入りなぜか、「法人調査において代表者や
その家族の個人口座が調査対象になるのか?」
という質問・相談を多く受けています。
質問検査権の範囲という法的な理解、
および適正な主張・反論、さらには
反面調査に対する実務的な対応まで、
過去のメルマガを含めて全般的に解説します。
まず、法人に対する税務調査において、
調査官が役員やその家族の個人口座を調査したい
主な理由は、一部の売上やリベートなどが
個人口座に入金されていないか、という点です。
これは、調査官が資料せんを持っていなくても、
またどんな業種・業態であってもあり得る、
よくある不正の手口だからです。
特に、法人において役員からの借入金が多い場合、
役員報酬が高額でもない限り、「この原資は
どこから捻出されてるのか?」は
調査官であれば誰しも疑ってかかる項目でしょう。
さて、全てを解説すると長くなるので、
項目別に過去のメルマガを引用します。
まず、質問検査権の範囲に関する整理です。
そして、下記が法人に絞った解説です。
「税務調査で代表者個人の情報を要請されたら何と反論するか?」
なお、両記事ともに国税庁サイトの
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
を引用していますが、変更後のURLは下記です。
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
さらに、代表者からの法人借入金までを
含んだ解説は下記をお読みください。
さて、ここでよく受ける質問なのですが、
「個人口座を提示しなければ、結局は
銀行調査に入られて情報を掴まれますよね?」
と聞かれますが、「はい、そうです」
としか回答できません。
これは銀行調査のみならず、反面調査全般に
いえることですが、反面調査について
国税の違法性を主張することは実質的に困難です。
なぜなら、その違法性を問うても国税は、
「その必要性があった」と主張するでしょうし、
実際にほとんどの裁決・判決でも
国税側の裁量が認められているのも事実です。
上記のとおり、税務調査立会いにおいては、
質問検査権の範囲をきちんと確認したうえで
対応することが原則になるわけですが、一方で
「このまま拒否しても反面調査に行くのか」
と判断すれば、素直に応じた方が
調査が早く終わるという現実論もあります。
この辺りは立会っている税理士の機微の範疇
だと思いますが、あくまで法的判断が
まず必要ということは理解しておくべきでしょう。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。