申告書閲覧の撮影OKと調査での撮影
※2019年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
ご存知の方も多いかと思いますが、税務署における
申告書の閲覧サービスについて、今月から
写真撮影がOKになりました。
最新(改正後)の事務運営指針は下記です。
「申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/050301/01.htm
また、改正にかかる新旧対照表は下記になります。
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/kaisei/190626_2/pdf/01.pdf
今までは、「閲覧~書き写す」という煩雑な作業を
ともないましたが、以後は携帯・デジカメでの
撮影が許されるので、かなり楽になります。
詳細は上記の事務運営指針を参照して欲しいのですが、
実務上の注意点だけを挙げておきます。
○代理人が写真撮影を希望する場合は、
委任状にその旨の記載が必要となりました
(併せて委任状フォーマットも改正されています)
○紙での申告の場合、収受日付印・氏名・住所等は
撮影の対象外となる(被覆して撮影)
○動画は不可
この改正を受けて・・・税務調査において
調査官が写真撮影をするのはどうなのか?
ということに疑問をもった方もいるはずです。
新たに調べなおしてみましたが、税務調査で
写真撮影が違法行為かどうか争った事案は、
「神戸地裁平成25年3月29日判決」
しか見当たりませんでした。
「調査手続きに違法性があった場合」
http://kachiel.jp/blog/調査手続きに違法性があった場合/
ここでは、「倉庫内の写真撮影は違法行為」
と結論付けられています。
一方で、税務調査内でどんな場合でも
調査官の写真撮影は認められないかというと
そうではないとも解釈できるでしょう。
例えば、帳簿書類の写真撮影です。
税務調査(質問検査権)の対象となる帳簿書類
については「提出」義務があるため、
調査官から「コピーをください」と要請されると
断ることができません。
このコピー(写し)に代えて、写真撮影でも
実質的に同じという考え方はあり得ます。
もちろんこの点、法律・通達等で
「帳簿書類の撮影は許される」とした規定は
ないものの、コピーと写真データは実質的に
同じと考えることもできるわけです。
調査官の写真撮影も、調査対象物ではない場合
違法行為と問うことはできるものの、
帳簿書類など明確な調査対象物であれば
違法性を問うことは難しいのかもしれません。
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