相続時精算課税適用者の申告漏れ財産に対する相続時の精算有無
※2024年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下勇人です。
今回のテーマは、
「相続時精算課税適用者の申告漏れ財産に対する相続時の精算有無」です。
令和5年度税制改正により、
相続時精算課税の使い勝手が格段に向上しましたが
選択初年度だけは、相続時精算課税選択届出書を
所轄税務署長に提出する必要があります
(相法21の9(2))。
令和5年度税制改正により、基礎控除が新設され
基礎控除以下の贈与財産であれば、申告義務が
不要となりました(相法28(1))。
そのため、令和6年度の贈与税申告においては
相続時精算課税を選択した場合であっても、
基礎控除以下の贈与財産であれば、
期限内申告書の提出せずに、
相続時精算課税選択届出書のみを提出し、
その旨を届出書に記載するという
実務が走るようになります
(相令5(1)前段、5の6(1)後段、相規10(1)四、(2)五)。
相続時精算課税を選択した場合、
特別控除を適用する場合には、
期限内申告することが求められています
(相法21の12(2))。
期限内申告をしなければ、特別控除の
適用を受けることができず、
期限後申告した場合には、
基礎控除後の贈与財産に
20%の税率を乗じた本税のみならず、
無申告加算税、延滞税を負担する
必要があります。
では、期限内申告も期限後申告を行わないまま
特定贈与者に相続が発生してしまった場合、
贈与財産の額は相続時に加算されるのでしょうか。
こちらは加算される扱いになります。
このことは、相続税法21の15第1項に
—
・・・当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)
—
と規定されています。
また、以下通達にも
明確に解釈が掲載されています。
相続税法基本通達21の15ー1
(相続税の課税価格への加算の対象となる財産)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/12.htm#a-21_15_1
—
・・・贈与税の課税価格計算の基礎に算入される全てのものであり、贈与税が課されているかどうかを問わないことに留意する。
—
つまり、過去、贈与税申告の有無は関係なく、
贈与税の非課税財産以外で
贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものは
全て加算されることを規定しています。
特に相続税申告を行う場合には、
相続時精算課税を選択後の贈与財産を
洗い出す作業が必要になりますので
実務上、注意が必要です。
参考:国税庁 質疑応答事例
相続時精算課税を選択した場合の少額贈与についての贈与税の申告の要否
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/16a/07.htm
【回答要旨】第3パラグラフを確認してください。
ただし、上記については、
令和5年8月1日現在の法令に基づくため、
令和5年度税制改正は考慮されてなく
基礎控除分の精算がないことは反映
されていませんので、ご留意ください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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