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2023.07.14

相続登記後の遺産分割協議による名義変更

※2022年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「相続登記後の遺産分割協議による名義変更」です。

KACHIELが提供する税務相互相談会
https://kachiel.jp/lp/sougo-soudankai/
において興味深い質問がありましたので
その内容と回答をご紹介させていただきます。
(ただし一部加筆修正あり)。

■前提
1.二次相続(父)
2.相続人:長男、次男、三男
3.相続財産:土地1筆のみ(相続税の基礎控除内)
4.遺産分割協議:未了
5.相続登記:済み
  法定相続分で3分の1ずつ登記

■質問
遺産分割協議によって長男1人が
土地を取得することになった場合
長男に贈与税が課税されますか?

■回答
まず、前提条件4.5を確認します。

◇民法・不動産登記法からの検証
通常、相続登記では
・遺産分割協議により取得者が決定
・特定財産承継遺言により取得者が決定
という形が一般的かと思います。

(1)遺産分割協議等に基づき相続登記する場合
この場合における登記原因は「相続」となります。

(2)法定相続分で相続登記する場合
次に、本件のように、
遺産分割協議が成立していない場合に
法定相続分で相続登記を入れることもあり得ます。

相続人の中の1人から登記申請をすることが
可能となります。
ただし、1人から申請する場合には
登記識別情報は申請者にのみ発行されますので
注意が必要です。

また、この場合の登記原因も「相続」となります。

民法上の考え方では、以下で整理します。
原則:法定相続分
例外:遺産分割協議

ただし、相続登記の実務では原則と例外が逆転します。

そのため、法定相続分での相続登記は
実務的には少ないのが実情かと思われます。

◇税務面からの検証
(1)遺産分割協議等に基づき相続登記する場合
一度決定した遺産分割協議等により相続登記しているため、
再度、遺産分割協議をすれば遺産分割のやり直しとなります。

そのため、この場合には
贈与税が課税される可能性が残ります。

(2)法定相続分で相続登記する場合
これまで一度も遺産分割協議が行われていないため
遺産分割協議を成立させても
当該分割は初めての分割になるため
遺産分割のやり直しではありません。

そのため、贈与税が課税される可能性はないと考えます。

ただし、課税庁が登記簿謄本を確認し
「相続」に基づき所有権移転が行われている場合
遺産分割のやり直しと疑うことは想定されます。

なぜならば
「相続」を原因とした相続登記だけでは
遺産分割協議の有無は判断できないためです。

そのため、課税庁対策としても、
「相続」を原因として相続登記した場合であっても
これが遺産分割協議に基づかないものであったことを
疎明することが必要であると考えます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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