税務署への事前照会手続き
※2020年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
年が明け、年調・法定調書・償却資産の提出から
個人の確定申告へと繁忙期に入りました。
顧問先の確定申告に関して、昨年の取引等で
すでに税務処理に悩んでいる税理士・会計事務所も
多いのではないでしょうか。
書籍等で調べても適切な税務処理の判断が
つかない場合、税務署に対して照会をかけようと
するケースもあると思います。
税務署に対する個別照会の制度については、
下記のようにまとめられます。
「個別の取引等に関する照会について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/kobetsu/index.htm
一般的には、事前に予約したうえで
税務署の窓口で相談・照会をかけるケースが
もっとも手軽に活用される制度でしょう。
これは、税務署職員による口頭での
照会・回答になりますので、確定的な判断が
必要となれば、文書回答手続きをすべきです。
「事前照会に対する文書回答手続」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/kobetsu/bunsho/01.htm
文書回答手続きを利用する場合に
問題になるのは、要する期間でしょう。
下記の国税庁サイトにもありますが、
「受付窓口で受け付けた日から原則
3か月以内の極力早期(審査に必要な
追加的資料の提出や、照会文書の補正に
要した期間を除きます。)」とあり、
今から照会をかけても確定申告期限に
間に合わない可能性もあるということです。
「税務上の取扱いに関する事前照会に対する文書回答について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/kobetsu/bunsho/gaiyo01/01.htm
ただし「おおむね1か月以内に、それまでの
検討状況から見た文書回答の可能性、処理の
時期の見通し等について、口頭で説明します」
とありますので、正式な文書回答は遅くても、
税務判断の内容は把握できるかもしれません。
なお、そもそも事前照会の対象になるのか
という点も重要で、照会したが受け付けて
くれなかったということもあります。
文書回答を行う対象となる事前照会の範囲
としては、下記に注意が必要です。
〇申告期限前の照会であること
⇒ 申告期限後は照会対象となりません
〇仮定(~したなら)は照会対象になりません
⇒ すでに起こっている事実のみが照会対象です
〇金額の妥当性や評価については照会対象になりません
⇒ 相続の評価や、退職金の適正金額などは
照会対象になりません
「ご存じですか?文書回答手続(平成30年4月)」
httpswww.nta.go.jplawbunshokaitobunsho_besshi.pdf
上記の制度とその範囲を把握したうえで、
事前照会を活用するか検討すべきでしょう。
さて、今回は事前照会制度の概要解説でしたが、
次回はそもそも「事前照会をすべきか?」
について解説したいと思います。
本年も引続き、よろしくお願いいたします。
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