調査前の修正申告に10%の加算税が課されるリスク(第1回)
※2024年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
税務調査の調査通知(事前通知)があってから、
調査初日前に修正申告を提出すれば過少申告加算税が10%ではなく5%になる、かつ重加算税が課されないことについては本メルマガでも取り上げてきましたので実践している税理士・会計事務所の方が多いでしょう。
過少申告加算税が0%~5%~10%となる時系列、
および「更正の予知」に関する法的な説明については下記の記事をご覧ください。
「修正申告に加算税が課される・課されないの分岐点8」
https://kachiel.jp/?p=38792
さて、
この「調査初日前に修正申告を提出すれば過少申告加算税が10%ではなく5%になる」ことを完全に覆す公開裁決事例があって、この事例を根拠に加算税10%と指摘された調査事案について、
直近で2件の質問・相談を受けました。
今回のメルマガでは、
該当する公開裁決事例の紹介となりますが、
来週以降の本メルマガにおいて調査事案および別判決も取り上げて解説します。
「請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例」
(令和5年12月7日裁決)
https://www.kfs.go.jp/service/JP/133/04/index.html
この裁決事例における前提となる事実関係と、
それらを簡易的に時系列でまとめてみます。
【前提事実】
・納税者個人は勤務先の親会社(アメリカ)からRSU等のインセンティブ報酬があったが申告なし(当初申告はあるが給与所得が過少)
・調査官は納税者に対して「インセンティブ報酬について確認する旨」を電話連絡(来署依頼)
【時系列】
調査官より電話連絡
⇒
納税者より電話にて税務署訪問日程が確定
⇒
納税者が税理士法人(関与なし)のサイトから問合せし「インセンティブ報酬を申告していないので税務署訪問前に申告したい」旨を連絡
⇒
税務署訪問の数日前に修正申告書を提出
⇒
納税者と税理士法人担当者が税務署を訪問し提出済みの修正申告内容を説明
⇒
10%の過少申告加算税が課された
この裁決事例では納税者が負けており、
このまま10%の過少申告加算税が支持されているのですが、
国税不服審判所の判断基準として非常に重要な論点は、
電話連絡前の約10日間において調査官が支払調書を整理・確認していた
⇒
税務署訪問前に提出された修正申告書の内容・金額と合致していたという点で、
税務署が机上で漏れ・非違を把握
⇒
納税者に電話連絡
⇒
「修正申告の時点において、本件調査担当者による調査は、その後の調査が進行し確定申告が本件報酬を計上しない不適正なものであることが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していた」と事実認定されているわけです。
この公開裁決事例から「税務署が保有する資料せん等から漏れや非違が把握されていれば結果として事前の修正申告にも10%の加算税が課されるのか?」と解釈することも可能なのですがこのあたりは論点が複雑なので、
次回は上記公開裁決事例を根拠として10%の加算税が指摘されたものの、反論して5%になった実際の事案を取り上げます。
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