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2021.10.13

質問応答記録書への署名押印を拒否しても生じるリスク

※2020年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回から引続き、
「質問応答記録書作成の手引について(情報)」
(国税庁 平成29年6月30日)を解説します。

前回は、税務調査の立会いにおいて
質問応答記録書に署名・押印を拒否すること
について解説しましたが、立会いの実務において
さらに突っ込んで気をつけなければなりません。

質問応答記録書への署名・押印を求められた際に、
口頭でその【内容が正しいと認めたうえで】
署名押印に拒否した場合、調査官が「奥書」や
「調査報告書」にその旨を記載することで、
結局は納税者が(仮装・隠ぺいを)認めたと
事実認定することもできるということです。

前回は(一部を)省略した「問28 回答者が
署名・押印を拒否した場合は、どのように
対応すべきか。」の回答部分を取り上げます。

「(略)かかる説得をしても、なお回答者が
署名・押印を拒否した場合は、署名・押印を
予定していた箇所は空欄のままにし、奥書において
回答者が署名・押印を拒否した旨(可能な限り、
本人から拒否理由を聞き出してそれも付記
すべきである。)を記載する。また、回答者が
署名・押印を拒否したものの、記載内容に誤りが
ないことを認めた場合には、その旨も記載する。
(略)回答者の署名・押印が得られなかった
理由・経緯等で特記すべき事項があれば、
その旨を記載した調査報告書を作成する。」

なお、「奥書」とは何かという点ですが、
同規定内の問30に下記とあります。

「奥書とは、官公署において、当該書類(文書)
に記載された事項が真正であることを証明する
ために、その書類(文書)の末尾に記載する
文章のことを言う。」

なお、質問応答記録書は「行政文書」に
該当することから、署名・押印の如何に関わらず
奥書が付記されることになります。

このように、署名押印をしなくても
質問応答記録書を読み、その内容を
正しいと認めたのであれば、実質的に
同じ(認めた)とされる場合もあります。

ですから、調査官が質問応答記録書を
持ち出してきた段階で、

●そもそも文書を読まないこと

●調査官が読み上げることを拒否する

●内容が正しいかどうかなどを言わない

という対応が大事になります。

前回解説しましたが、調査官のスタンスは
「署名・押印を強要することはもとより、
そのような疑義を生じさせる言動をしない
よう留意する」ですから読ませる・読み上げる
という行為自体を拒否しても問題ありません
(問題になりません)。

質問応答記録書とは国税が事実認定するための
文書であって、質問検査権の範囲内では
ないことから、強制ではなく【任意】です。

質問応答記録書への署名押印を拒否する
対応まではできていても、実質的に
口頭で認めてしまっている行為も多いので、
併せて注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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