非課税から除かれる損害賠償金
※2019年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回から、申告所得税に関する
誤りやすいポイントなどを解説していきます。
今回は「非課税から除かれる損害賠償金」です。
個人が受け取る損害賠償金については、
頭から「非課税」だと考えると、大きなミスに
繋がりますので、かなり注意が必要です。
約1年前ですが、東京国税局から下記の
文書回答事例が公表されています。
「関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shotoku/181207/01.htm
事案の前提は非常にありがちで、
・顧問先は不動産賃貸業の個人
・簡易課税のままオフィスビルを取得
・消費税の還付を受けることができなかった
・税理士が損害賠償請求を受けた
・受け取った損害賠償金は非課税か?
というものです。
まず考え方ですが、この損害賠償金は
所得税法施行令第30条(非課税とされる
保険金、損害賠償金等)第2号に規定する
「不法行為その他突発的な事故により
資産に加えられた損害につき支払を受ける
損害賠償金」に該当します。
ここで思考が止まらないことが大事で、
同施行令にはカッコ書きで「必要経費に
算入される金額を補てんするための金額が
含まれている場合には、当該金額を控除
した金額に相当する部分」とあります。
上記の文書回答事例では、支払った
消費税は(各年の)必要経費に算入
されているわけなので非課税にはならず、
収入金額に算入と結論付けられています。
なお、争点は「税抜経理」の解釈もある
のですが、その詳細は上記の文書回答事例
をきちんと読んでいただければと思います。
同じような誤りやすい事例で、
個人事業主の収益補償金があります。
個人事業主が交通事故などで
営業できなくなった場合、相手方から
受け取った金銭は「原則として」
非課税に該当しますが、例えば
従業員の給与を補填するための部分は
非課税に該当しないことになります。
国税庁のタックスアンサーにも下記が
ありますので併せて参考にしてください。
「No.1700 加害者から治療費、慰謝料
及び損害賠償金などを受け取ったとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1700.htm
損害賠償金の非課税については、
必要経費に算入している部分は
除かれるので要注意です。
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