2025.03.28

申告書に税務代理権限証書を添付・提出しないリスク

※2024年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜の本メルマガでは、税務代理権限証書の提出義務
について、税務調査の観点から解説しました。

結論だけをおさらいしておくと、税務調査の立会い=税務代理
をするのであれば、税務代理権限証書を提出する必要がある
ということでした(申告書の作成を受託していない場合でも、
税務代理権限証書を提出すれば調査立会いは可)。

さて、今回は税務調査の観点からではなく、
税理士事務所が申告書の作成を受託~提出する場合において、
税務代理権限証書の提出は義務なのかについて解説します。

税理士事務所業界の中で、まことしやかに言われ
実践されてされてしまっていることに「申告書の内容に
疑義があると思ったら税務代理権限証書は添付・提出しない」
という行為があります。税務代理権限証書を提出しないことで、
あたかも税理士事務所のリスクが下がるという【誤認】です。

先週解説したとおり、税理士事務所が顧問先から
受託している業務を大別すると、

税務代理=委任
税務書類の作成=請負

となります。ですから、申告書の作成を受託するだけで
あれば税務代理権限証書を提出する義務はありません
(作成後、顧問先自身が申告書を提出する場合など)。

一方で、税理士事務所が申告書の作成だけではなく、
顧問先に代わり申告書を提出する行為は「代理・代行」に
該当することから、税務代理権限証書の提出義務があります。

ですから、申告書の内容に疑義があると考え、
申告書の提出(税務代理)までしたにもかかわらず、
税務代理権限証書を提出しないとすれば、それは
税理士事務所のリスク低減どころか、明らかな
税理士法違反を犯しているということになるわけです。

また、まったく同じ論点で、申告内容に疑義があるから
税理士が申告書に署名押印しないというのは、リスク低減
ではなく、こちらも明らかな税理士法違反となります。

税理士法第33条第1項(署名押印の義務)
税理士又は税理士法人が税務代理をする場合において、
租税に関する申告書等を作成して税務官公署に提出する
ときは、当該税務代理に係る税理士は、当該申告書等に
署名押印しなければならない。(以下、略)

上記のように、申告内容に疑義がある場合に、
税務代理権限証書を提出せずに済むよう、作成した申告書を
顧問先に渡し、顧問先自らが提出するよう対応している
税理士事務所もあるようですが、申告書の作成を請け負えば
署名押印義務があるわけで、責任は免れられません。

さらに・・・税理士が署名押印しない場合であっても、
申告書の効力は何ら変わらない=税理士のリスク低減に
ならないことは下記の規定で明記されています。

税理士法第33条第4項
第一項又は第二項の規定による署名押印の有無は、
当該書類の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。

このように顧問先の申告内容に疑義があったとしても、
税務代理権限証書を提出しない、申告書に署名しない
ことはリスク低減どころか、税理士法違反に抵触し
税理士のリスクが上がることを認識すべきなのです。

来週水曜の本メルマガでは、税務調査における
税務代理権限証書の効力・範囲について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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