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2023.03.10

開示請求の範囲はどこまでか?

※2022年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週の本メルマガでは「過去の税務調査の内容は
どこまで知れるのか?」と題して、
税務調査の【開示請求】について解説しました。

タイトルが「過去の税務調査の内容」でしたので、
「進行中の税務調査について開示請求は?」
と思った方が多いかもしれませんが・・・

先週のメルマガ本文でも「この開示請求では納税者が
提出した「質問応答記録書」もその範囲となりますので、
たとえば税理士の調査立会い開始前に提出した、
もしくは調査に立会っていない間に提出した
「質問応答記録書」も開示請求が可能」としたとおり、
結了していない調査事案でも開示請求ができます。

ただし、気を付けて欲しいのは、開示請求で
「調査内容をすべて知れるわけではない」
ということです。あくまでも、請求根拠は
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」
第12条1項に基づく行為になります。

国税庁サイト「開示請求等の手続」

福岡地裁平成26年4月21日などでも
争われていますが、税務調査に関する内容について、
国税側が固有に作成している書面については
開示対象にはならず、あくまでも開示の対象は
納税者が作成・提出した書面や、それに付随して
「調査のやり取りを客観的に示した内容
(発言内容や調査した資料等)」に限定されます。

たとえば、反面調査で税務署がどの取引先に
行ったのか知りたい、などは納税者に直接
関わる事項ではありませんので、開示の
対象外になると考えた方がいいでしょう。

また、税務署が無予告調査を実施する場合、
署内では事前に「事前通知を要しない調査の
適否検討表」が作成されているはずです。

なぜなら、現行の国税通則法において、
無予告調査には法的な要件が存在するからです。

「無予告調査の要件とは?(1)」

無予告調査を実施された際に、適否検討表を
開示請求をすることは可能です。なぜなら、
納税者に直接かかわる情報だからです。

しかし、適否検討表が開示されても
そのほとんどは黒塗りになっているはずです。
国税側が固有に検討・作成している部分に
ついては開示の対象にはならないからです。

本メルマガの本論ではありませんが、
税務署に対する開示請求は他にあって、
実務上必須な「49条開示」もあります。

「相続税申告における贈与の事前確認は必須」

税務署に対する開示請求は、その種類と
範囲はきちんと押さえておく必要があります。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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