2024.10.04

相続時における不動産取得税の取扱い

※2023年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「相続時における不動産取得税の取扱い」です。

令和5年9月1日のメルマガでも記載しましたが、
不動産取得税は・・・

土地や家屋を購入したり、家屋を建築するなどして
不動産を取得したときに、その取得者にかかる税金

不動産の取得について、
・有償、無償の別
・登記の有無
・取得原因
は問いません。

ただし、
相続で不動産を取得した場合には
不動産取得税は非課税となります(地法73の7一)。

以下、条文参照

(形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
第七十三条の七
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得

ここで、注意をしたいのは、かっこ書きにある
1.包括遺贈
2.被相続人から相続人に対してなされた遺贈
です。

1.包括遺贈
包括遺贈であれば、相続人以外でも非課税となります。
もちろん、相続人に対する包括遺贈であれば
非課税となります。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を
有している(民法990)を鑑みても、
納得の取扱いといえます。

2.被相続人から相続人に対してなされた遺贈
こちらは、特定遺贈を指すことになりますが、
相続人に限った扱いとなっています。
実務的には
相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)
として扱うことになるかと思います。

裏を返せば、相続人以外(例えば、孫)に
対する特定遺贈であれば、
不動産取得税は課税されることになります。

ここで・・・
孫と養子縁組をしておけば相続人となるため
不動産取得税を非課税とすることが可能です。

また・・・
代襲相続で相続人となった孫であれば
上記と同様、非課税となります。

この点は税理士として注意しておきたい
論点になります。

次に・・・
代償分割で不動産を取得した場合は
どうでしょうか。

税理士であれば、有名な論点として
含み益のある不動産や株式などを代償分割で渡した場合、
譲渡税が課税されるのは周知の事実かと思います(所基通33-1の5)。

代償分割で取得した場合の取得費は
「資産の交付を受けた時の時価」となります(所基通38-7)。

代償債務を負った側は金銭債務を負担するべきところ、
金銭債務の代わりに物で弁済するという整理(代物弁済)が
なされるためです。

つまり・・・
相続とは離れて譲渡扱いになるため
不動産取得税も課税されることになります。

この点も注意が必要です。

上記検証以外に注意すべきとしては
・合併による不動産の取得
(地法73の7二)

・共有物の分割による不動産の取得
(地法73の7二の三)
ただし、共有物分割については
当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に
係る持分の割合を超える部分の取得を除きます。

こちらも・・・
譲渡所得の負担がないのは、あくまで
経済的価値の比率が分割前後で同じである場合に
限定していることからも想定とおりであると考えます
(所基通33-1の7)。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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