2024.08.09

2期連続期限後申告による青色取消しと申告~再申請の実務

※2023年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税務署(国税内)は毎年7月10日に異動がありますが、
税務署間の異動はない税務職員でも、税務署内での
配置換えはありますので、1部門などの内部事務担当者も
6月下旬~7月は引継ぎ・処理対応に追われる時期です。

この典型例が、法人課税部門(の内部事務担当)における
2期連続期限後申告(もしくは無申告)法人に対する
「青色申告取消しの通知」事務で、一般的には6月末~7月中に
一斉に・まとめて通知を送ることになります(事務処理の関係上、
通知がそれより遅くなる可能性もあります)。

法人が2期連続で期限後申告(もしくは無申告)した場合、
青色取消しになることについては下記に規定があります。

「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
4 無申告又は期限後申告の場合における青色申告の承認の取消し
法第127条第1項第4号の規定による取消しは、2事業年度連続して
その提出期限内に法第74条第1項の規定による申告書の提出がない
場合に行うものとする。この場合、当該2事業年度目の事業年度以後
の事業年度について、その承認を取り消す。

まず理解すべきは、2期連続で期限後申告した場合で
青色取消しの対象になるのは2期目(直前期)=白色申告であり、
1期目(直前々期)は青色申告のまま取り扱われます。

また、青色取消し=白色申告となるのは、その効力が発生する
税務署からの「通知が届いた時点」であることから、
2期連続での期限後申告だからといって、通知前に2期目を
白色申告によって申告することはできません。2期目の申告は
実務上、下記対応のどちらかになります。

●青色申告で期限後申告~青色取消しの通知が届く
~白色申告で修正申告(所得・税額に異動がある場合)

●青色取消しの通知が届く(まで待つ)~白色申告で期限後申告

2期連続で期限後申告・無申告の法人が青色取消しされた場合、
いつから青色申告に戻れるのかという論点ですが、
最短でも3期分は青色申告をすることができません。

これは法人税法第123条第三号の規定から、青色取消しを
受けてから1年間は青色の承認申請ができないからです。
3月決算法人を例に、再申請までを具体的に書いてみましょう。

令和4年3月期:青色で期限後申告
令和5年3月期:青色で期限後申告
令和5年8月2日:青色申告の取消し通知が届く

令和5年3月期:白色申告で修正申告
令和6年3月期:白色申告
令和6年8月3日~令和7年3月31日:青色承認申請
令和7年3月期:白色申告

令和8年3月期:青色申告

このように、令和5年3月期~令和7年3月期の3期分は
白色申告となり、最短で4期目以降が青色申告となります。

期限後申告もしくは青色取消しについては、
税理士が関与している以上、実務上はあまり出てこないのですが、
税理士の関与が無かった法人、もしくは前の顧問税理士が
期限後申告をしていた場合などは、実務で対応したことがない
=青色取消しの対応の仕方がわからない、という
税理士・会計事務所も多いので、上記を参考にしてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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