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2018.08.28

事業用と生活用を区分していなければ65万円控除は否認されるのか?

※2018年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

個人の確定申告に備える時期になりました。

顧問先とはいえ、個人は年1のところも多いでしょうし、
とりあえず提出してもらった領収書等を集計して、
深い考えや判断をする時間もなく、申告書を
作成~提出する、というのが現実でしょうが・・・

ある程度は、税務調査に入られることを前提として
申告内容の判断もすべきかと思います。

今回と次回の2回に分けて、「65万円控除」
について考えてみましょう。

個人事業主に税務調査に入った場合、
よく問題になるのが「65万円控除は取れないので
10万円控除にしてください」という指摘です。

実際にあった調査事例は下記のようなものです。

○税理士が関与している

○会計ソフトに入力している
 (BSは作成・提出している)

○現金出納帳が正確ではない(と調査官が指摘)

○現金出納帳は事業用と家事費を混在して作成し、
 申告時に家事費を抜き出している
 (事業専用の銀行口座がないため)

○100%現金売上げ

○月末に残った残高を事業主勘定で出金して
 0円で処理している

いまさらですが・・・65万円控除の
要件は下記のようになっています。

「No.2072 青色申告特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

調査官は「正規の簿記の原則により記帳している」
を満たしていない、という部分を指して
65万円控除の適用はないと指摘したのでしょう。
(調査時に具体的な根拠の提示はなかった)

さて、この調査官の否認指摘は正しいのでしょうか?

上記の事案において、まず会計ソフトに
入力している時点で複式簿記(のはず)です。

では、出納帳が事業用と生活用で分かれていないのは、
正規の簿記の原則に従っていないと
判断されてしまう(可能性がある)のでしょうか?

ここまで考えればわかると思いますが、
上記事案で否認されるとすれば、
そもそも事業用と生活用の通帳が分かれていなければ
絶対に否認されてしまう結果となってしまいます。

混在した通帳で事業用だけ抜き出して
出納帳を記帳すれば、残高が合いませんので。

「正規の簿記の原則」とは、何をどの程度なのか、
という点については、来週のメルマガで
具体的な判決を持ち出して解説しますが・・・

個人事業主の税務調査において、
「正規の簿記の原則に従っていないから65万円控除
はとれない」と否認指摘された場合は、

【では、何をもって正式の簿記の原則に則っていないと
判断するのか?その基準と根拠を明示してください】

と主張すべきです。

少なくとも、上記のような調査事案は
調査官の「感覚で」65万円控除ではない
と指摘しているに過ぎないはずです。

個人事業主の場合、現実的に事業用だけの
しっかりした帳簿をすべて漏れなくつけている、
というのは難しいと思います。

調査官の根拠ない否認指摘は可能どころか、
むしろ、その基準と根拠を求めるべきです。
これに回答できなければ、否認できないのですから。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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