調査前の修正申告に10%の加算税が課されるリスク(第3回)
※2024年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回は、事前通知後~調査初日前に修正申告を提出したものの、
過少申告加算税が10%と指摘され、それに対して
反論して5%になった調査事案を取り上げました。
前回までは、税務署が保有する情報(資料せん)が
否認となった場合、税務署が机上でする
確認・精査が調査に該当するのかが論点でした。
今回は、相続税の調査によって被相続人の
相続財産申告が漏れていただけではなく、相続人の
所得税申告が漏れていたことが判明した場合、
提出した所得税申告(修正申告もしくは期限後申告)に
加算税が課されるのかを争った判決を取り上げます。
なお、判決は控訴審を含めて下記になります。
東京地裁令和3年5月27日判決
Z271-13569
東京高裁令和4年1月14日判決
Z888-2439
東京高裁令和4年7月26日決定(棄却)
Z888-2528
前提となる事実がややこしいので、
調査の概要を時系列で整理します。
相続税にかかる調査通知
⇒
韓国に保有する財産の申告が漏れていた
⇒
実地調査前に相続税の修正申告を提出
(この修正申告に加算税は課されていない)
⇒
実地調査において調査官より、相続人が
相続開始時点で所有していた財産に関して
書面の提出を求められた
⇒
相続人は韓国で保有する財産等が別途あり、
その収益に関して所得税の申告が漏れていた
⇒
書面提出後、顧問税理士が「所得税の修正申告を
提出する意向がある」旨を調査官に伝えたところ
「加算税を課さない」旨の発言があった
さて、ここで事実関係が飛んでいるのですが、
この直後に相続人が所得税の修正申告をすぐに
提出しているわけではなく、
約5ヶ月後:相続税調査が結了
⇒
さらにその5ヶ月後:所得税の調査通知
⇒
その2日後:所得税の修正申告書を提出
という時系列になっています。
論点は、所得税に関する実地調査が行われていない
にもかかわらず、相続税調査の結果得られた
情報から、その後提出した所得税の修正申告書は
更正の予知に該当する=加算税10%が課されるのか
という点になります。
判決では、上記書面を提出した段階で
相続人の所得税申告が不適正であることが認知でき、
更正の予知に該当すると判断しました。
確かに、本事案では相続税と所得税が
表裏一体の関係であったことは間違いないですが、
所得税調査を実施していないこともまた事実です
(確かに調査通知はしていますが)。
一方で、本事案で問題だと思われるのは、
所得税の修正申告(と期限後申告)が
なぜか遅すぎたという点でしょう。
調査官が「所得税に加算税を課さない」と
明言した時点で修正申告書を提出していれば
加算税の問題は発生しなかったかもしれません。
次回は、調査前の修正申告に加算税10%が課されるのか、
更正の予知に関して論点を2つに分けて
考え方を整理して解説していきます。
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