• HOME
  •  › ブログ
  •  › 民事信託と相続空き家特例との関係における問題点
2026.05.07

民事信託と相続空き家特例との関係における問題点

※2024年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは、
「民事信託と相続空き家特例との関係における問題点」です。

前回、前々回と2回にわたり
みなし配当特例(措法9の7)の注意点を確認しました。

みなし配当特例(措法9の7)
相続税の取得費加算(措法39)

では、相続税法や租税特別措置法の一部における
「みなし相続」「みなし遺贈」による財産取得にも
適用させることを確認しました。

これに関連して今回は、表題テーマを取り上げます。
詳細は以下URLをご確認ください。

これまでの文書回答事例において

「標題のことについては、下記の理由から、
貴見のとおり取り扱われるとは限りません。」

という回答はあまりないため、
税理士業界では騒然となったのを記憶しております。

東京国税局 文書回答事例
(信託契約における残余財産の帰属権利者として
取得した土地等の譲渡に係る租税特別措置法
第35条第3項に規定する被相続人の居住用財産に係る
譲渡所得の特別控除の特例の適用可否について)
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/joto-sanrin/221220/index.htm

■概要(契約内容等)
委託者:母
受託者:長男
受益者:母
帰属権利者:長男・次男
信託期間:受益者死亡まで
信託財産:居住用家屋等

■時系列
1.受益者死亡により信託終了
2.居住用家屋等は帰属権利者2人に帰属
3.帰属権利者2人は相続のあった翌年に
  居住用家屋等を譲渡

■論点
居住用家屋等の譲渡につき、相続空き家特例の
適用があるか否か

■納税者側の見解
この居住用家屋等は、
信託の終了により遺贈により取得した
ものとみなされ(相法9の2(4))、
帰属権利者が居住用家屋等の所有者であった
母の相続人である。

そのため、相続空き家控除の要件である
「相続又は遺贈による被相続人居住用家屋等の取得」
をした相続人に該当するため
相続空き家控除の適用はあると考える

■東京国税局側の見解
信託の終了による財産の移転は
「相続」や「遺贈」に該当しない。

相続空き家控除の条文(措法35(3))には
相続税法の規定により
遺贈等による財産の取得とみなされる場合を
対象に含むとは規定されていない。

帰属権利者は権利を放棄することが
できる(信託法183(3))。

そのため、残余財産の取得を
相続又は遺贈による財産の取得と
同様に取り扱うことはできない。

前段部分の理由を確認します。

冒頭で申し上げましたが、

・みなし配当特例(措法9の7)
・相続税の取得費加算(措法39)

では、
相続税法における「みなし相続」や「みなし遺贈」
による財産取得を含むと規定されていました。

これにつき、相続空き家特例(措法35(3))では
以下のように規定しています。

相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を
生ずる贈与を含む。以下第5項までにおいて同じ。)
による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の
敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。
以下この項において同じ。)が、・・・


つまり、「みなし相続」や「みなし遺贈」
による財産取得を含むと規定されていません。

平成28年度税制改正において導入された
相続空き家特例の制度趣旨が「空き家問題の解消」
であったことを鑑みると、
民事信託による財産取得の場合に相続空き家特例を
適用させないというのはその趣旨に反している
としか思えません。

信託税務については、平成19年の信託法改正に伴う
信託税務の改正から改正が入っていません。

個人的には民事信託が普及し
税制改正も柔軟に行われることを期待したいです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。