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2016.04.21

調査で印紙を指摘されたら・・・

※2014年10月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

弊社が運営する習得会(税務調査のことで

わからないことがあったときに私に質問できる
メーリングリストのサービス)において、税務調査に
おける印紙税の質問がありました。簡単にいうと、

・調査で印紙の貼付漏れが見つかった

・その契約書は数百枚単位で存在する

・ただし、調査官は「自主的に」申告して納付して
 欲しいと言うだけで具体的な手続きには言及しない

・どのように処理すべきなのか?

という質問内容でした。

印紙税の単独調査でない限り、税務署では
印紙を調査することを「同時調査」と呼んでいます。

あくまでも、法人税・所得税・消費税を調査することが
目的であり、印紙は「同時に見るもの」という考えです。

ご存知のように印紙税法上は、印紙の貼付漏れがあった等
の場合は、2倍の過怠金(印紙税額の3倍)を納付することに
なっていますが、現実の調査では、この過怠金を賦課せず、
10%の過怠金(1.1倍の納付)で済ませています。

国税庁のホームページにおいても、このあたりのことを
直接書けないため、玉虫色な記載をしています。

「印紙を貼り付けなかった場合の過怠税」

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/06/21.htm

ここで、国税内部ではどのような規定になっているのか
調べてみると、面白い質疑応答事例がありました。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)【共通】」
(平成24年11月 国税庁課税総括課)

問1-22 所得税や法人税の調査の際には、印紙税についても事前通知を行うのか

(答)
印紙税については、運用上、同時処理を行うことを前提としていますが、
同時処理とは、調査の過程で、印紙の貼付もれ等を把握した場合に、
その事実を指摘した上で、納税義務者が自主的な見直しをして
不納付の申出を行うものであり、当初から印紙税の調査を行うことと
しているものではないため、原則として、法令上の事前通知を
行う必要はありません。なお、印紙税単独調査を同時に行う場合は、
原則として、法令上の事前通知を行う必要があります。

まさに、「同時調査」という意味を端的に表しています。
「当初から印紙税の調査を行うこととしているものではない」
から、過怠金3倍を課すのではなく、あくまでも
自主納付を促す、という処理をするわけです。

調査官もこのあたりのことはよくわかっていて、
具体的にどのような処理をしてくれ、とは言えないのでしょう。

調査の中で「この手続きを自主的にすれば、過怠金が2倍ではなく
10%で済みます」と言ってしまえば、法的な手続きから
逸脱していることを明言していることになります。

だからこそ、調査で印紙漏れがあった場合は、
調査官にどうすればいいのか聞くのではなく、
税理士自ら「不納付事実申出書を提出しておきますね」
と切り出さなくてはなりません。

「印紙税不納付事実申出手続」

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/23120080.htm

調査での印紙税対応を間違えないよう、
上記のことはぜひ知っておいてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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