調査前の修正申告に10%の加算税が課されるリスク(第5回)
※2024年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回の本ブログでは調査前の修正申告に
加算税が5%ではなく10%課される論点のうち
「調査があったか」について解説しましたが、
今回は連載最終回として、最も重要な
「更正の予知があったか」について解説します。
ここにいう「更正の予知」とは事前通知の段階で
「このまま調査が開始されれば、税務署に
(増額)更正されるであろうことを納税者自身が
予測できる状況」を指しています。
前回も取り上げた、国税の内部資料を再掲します。
「審理課インフォーメーション(第183号)
事前通知後(調査通知後)に修正申告書等の
提出があった場合の加算税の課税関係について
~国税通則法第65条「更正があるべきことを
予知してなされたもの」とは?~
課税第一情報 令和2年9月28日 第17号」
https://kachiel.jp/sharefile/mailmagazine/20241218_645925.pdf
例えば、A社の取引先であるB社に税務調査が入り、
A社との取引額や計上時期の否認を受けた場合で、
A社も連動して否認されることが明らか
=修正申告が必要となるケースでは、
A社が事前通知を受ける前に修正申告を提出しても
「更正の予知」に該当するとして
加算税10%が課される可能性があります。
この点、事務運営指針では下記の規定があります。
「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税
の取扱いについて(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_01/00.htm
第1 1
(略)その法人に対する臨場調査、その法人の
取引先の反面調査又はその法人の申告書の内容を
検討した上での非違事項の指摘等により、
当該法人が調査のあったことを了知したと
認められた後に修正申告書が提出された場合の
当該修正申告書の提出は、原則として、
これらの規定に規定する「更正があるべきことを
予知してされたもの」に該当する。
では、(取引先からの連鎖などがない)一般的な
状況において、事前通知段階で「更正の予知」が
成立するのでしょうか。
これは12月4日に配信した本連載第2回で
取り上げた調査事案のように、事前通知の際に
【具体的な非違事項の指摘を受けた】場合は
更正の予知に該当する可能性があります。
第2回で取り上げた調査事案は「海外での
資産運用による収益・所得計上漏れ」が
事前通知段階で指摘されたものの、実際には
税務署が得ていた情報が違うファンドであった
ことから、結果的には「更正の予知」に該当せず、
加算税は5%で済んだというケースでした。
違うケースで考えてみると、例えば
事前通知の際に「社長個人口座への入金は
法人の売上ではないですか?」など、
具体的な指摘を受けた場合が考えられます。
つい先日、質問・相談を受けた税務調査では、
事前通知において「売上を中心に調査します」
と言われ、顧問先に売上漏れの確認をしたところ
売上の一部が個人口座に入金されていたため、
調査初日前日に修正申告を提出したが、
「更正の予知があった」として重加算税の
指摘を受けたという事案がありました
(加算税5%であれば重加算税になりません)。
この調査官の言い分を敷衍して考えると、
法人や個人事業主に対する税務調査において、
事前通知で「売上と経費に関して調査します」
と非常に当たり前のことを言われれば、
調査において増差所得が発生する限り、
事前に修正申告をしても全額に対して5%ではなく
10%の加算税が課されることになり得ますので、
このような論拠が成立するわけはないでしょう。
このような調査官の粗い(荒い)指摘に関しては
「具体的な指摘を受けていない以上は
更正の予知に該当しない」と、
きちんと反論する必要があります。
最近になって、事前通知で日程調整のみならず
調査での確認事項を指摘をすることによって、
加算税を5%ではなく10%を課そうとする
調査官が急増しているようです。
これは調査官側から考えると、調査前に
自主修正申告をされてしまうと、税務調査による
増差所得が減ってしまうからなのですが、
かなりムリのある「更正の予知」の指摘が
ほとんどですので、上記を参考に反論してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
著者情報


