令和5事務年度事績から税務調査の傾向を把握する
※2025年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎年年末に国税庁から発表されている
「調査事績の概要」について、例年通り
各税目の最新情報が公表されました。
今回のブログでは公表内容から、
最新の税務調査の傾向について解説します。
「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/hojin_chosa/pdf/01.pdf
※令和5事務年度=令和5年7月~令和6年6月
まず法人の実地調査件数ですが前年対比94.6%
(約59千件)と、意外にも調査件数が
減少するという結果となっています。
コロナ禍以前の調査件数は毎年約10万件程度
であったことを考えると、いまだ件数は少なく、
現事務年度はさすがに件数が増えると見込まれます
(これについては最後に触れます)。
法人税における税務調査での否認割合は、
45千件÷59千件=約76.3%
ということで、否認率は高割合が維持されており、
4件に3件という非常に高い水準となっています。
調査1件あたりの増差所得は16,597千円(132%)、
追徴税額は5,497千円(104.9%)となっており、
調査件数が微減となりながらも前事務年度と比べ
調査1件あたりの増差所得・税額は増えています。
これは下記でも取り上げますが調査先の選定で
AIが活用されるなど、情報の突合等がより
精緻になっていることが要因と考えられます。
昨今の調査では法人・個人を問わず、
預金の動き・取引先との取引情報など
いわゆる資料せんによる調査選定が多いです。
この流れを受けて、重加算税の賦課率である
「不正発見割合」は22.3%となっており、
前年よりも1.6ポイント上がっています。
この点は以前から指摘しているとおり、
法人の税務調査において5件に1件超の
重加算税賦課率はさすがに高すぎると思われ、
顧問税理士による重加算税の反論が
適正ではないことも要因として大きいと考えます。
さて、次に所得税に関する調査事績です。
「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf
こちらはメディア等でも大きく取り上げられ
話題になりましたが、上記のとおり
・調査選定にAI活用が明記された
・実地調査の件数は微増しているものの、
「簡易な接触」を合わせた「調査等」の
全体件数は減る結果となっている
・一方で、申告漏れ所得金額の総額
および追徴税額の総額は過去最高を記録
・個人事業主に対する税務調査強化ではなく
富裕層や海外投資・ネット取引を行っている
個人に対して情報強化による調査選定
という強い・偏った傾向が出ています。
なお、相続税の調査事績については
下記を参照してください。
「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf
最後に・・・税務調査の件数が低いままである
ことについて、そもそも調査官(国税職員)の数が
減っているので調査件数は増えないという記事を
見かけましたが、これは事実ではありません。
令和5年末に発表された
「税務行政の現状と課題」
https://www.nta.go.jp/about/council/shingikai/231205/shiryo/pdf/03.pdf
にありますが、国税の職員数は約56,000人と
以前からほぼ増えても減ってもいません
(数十年単位で54,000~57,000人で推移)。
電子申告が普及するなど、国税職員の
手間は減っているにも関わらず、です。
このことから、税務調査の件数は
少なくとも現状よりは増えると見込まれます。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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