相手方が発行した請求書がない仕入は仕入税額控除が認められないのか?
※2025年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
インボイス制度施行後、税務調査において
仕入税額控除の確認がかなり細かくなりました。
今回は、実際に否認指摘があった税務調査事案から
仕入税額控除の要件とインボイス対応を解説します。
【税務調査の実例】
・調査対象法人は食材の卸売・小売業で、
大手から食材を仕入れ、飲食店などに販売
・仕入先からの請求書は無く、仕入の詳細を
記載した納品書だけがある(双方において保存)
・調査官から請求書が無いことを根拠に
仕入税額控除の否認指摘を受けた
(インボイス施行後については80%控除)
・仕入先に確認したところ、他の販売先でも
請求書を発行しておらず納品書のみとのこと
商慣習上、相手方から請求書(や領収書)の
発行が無い業種・取引も多いと思いますが、
はたして上記の否認指摘は正しいのでしょうか。
まず、調査官の否認指摘の論拠は
「相手方が発行した請求書がない」ですが、
仕入税額控除の要件となる請求書等とは
「適格請求書、適格簡易請求書のほか、
仕入明細書等やそれらの電磁的記録を含みます」
とされ、相手方の発行が要件ではありません。
国税庁 タックスアンサー
「No.6497仕入税額控除のために保存する
帳簿および請求書等の記載事項」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6497.htm
また、この「請求書等」(適格請求書)は
広い概念であって、必要な事項が記載されている
書類全般を指し、納品書もこれに含まれると、
下記国税庁の資料においても明記されています。
「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf
13ページ(3)
適格請求書とは、「売手が、買手に対し正確な
適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、
一定の事項が記載された請求書や納品書その他
これらに類するものをいいます。
適格請求書の様式は、法令等で定められていません。
適格請求書として必要な事項が記載された書類
(請求書、納品書、領収書、レシート等)であれば、
その名称を問わず、また、手書きであっても、
適格請求書に該当します。
以上から調査官が否認指摘している
「相手方が発行した」「請求書」である
必要はなく、相手方・日付・取引内容・金額等が
記載された納品書であれば仕入税額控除の
要件を満たしていることになります
(税務調査において適正に反論可能)。
今後のことも含めて1点だけ追記しておくと、
正しい・正確なインボイス対応としては、
仕入明細書や納品書で仕入税額控除をする場合、
「仕入明細書等に「送付後一定期間内に
誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容の
とおり確認があったものとする」旨の通知文書等を
添付して相手方に送付し、又は提供し、了承を得る」
ことが必要となります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/86.pdf
問86(3)
つまり、相手方からの発行は不要だが、
双方において取引内容等の認識が合っている
ことを明記することによって、インボイス制度
に対応できていることが確実になります。
現時点でこの記載がない納品書がある場合、
顧問先に対する指導をした方がいいでしょう。
以後の税務調査では、さらに仕入税額控除の
要件が細かく確認されるわけですが、上記の
調査事案のように、明らかに間違った
否認指摘もあり得ますので、今一度
仕入税額控除の要件を確認してください。
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