推計課税の法的要件を正しく理解する
※2025年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
法人税では実務上あまり出てこないのですが、
個人事業主など所得税の実務では原資資料が無い等
「推計課税」が適用される場面があります。
この「推計課税」を根本的に理解していない
税理士・会計事務所が多いと思われますので、
今回は推計課税の法的要件を解説します。
※税務調査ではなく、無申告者への実務対応
(期限後申告の提出)における推計課税については
次回の本ブログで解説することにします
まず、所得税における推計課税の規定を挙げます。
所得税法156条(推計による更正又は決定)
税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は
決定をする場合には、その者の財産若しくは
債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は
生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他
事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額
又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に
係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額
及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上
生じた損失の金額を除く。)を推計して、
これをすることができる。
この条文規定から推計課税の要件は大きく2つで
●更正(または決定)となる場合に適用される
●青色申告者には適用されない(条文カッコ書き)
ことをきちんと理解してください。
ここですでに認識が相違している方も多いと
思いますが、あくまでも「推計課税」は
【法的には】税務署が更正(無申告の場合は決定)
する際に適用される課税方法を指すのであって、
税務調査の結果として修正申告を提出する場合、
(厳密には)「推計課税」とは呼ばず、推計により
算出された所得・税額に納税者が納得したから
修正申告を提出した、という理解になります。
ここでは、税務調査において推計課税が
適用になる一般的な流れを整理しておきます。
税務調査:原資資料等が保存されていない
⇒
推計によって所得を算出
(調査官が推計する調査事案が多いが
納税者側が推計方法を提示しても問題ない)
⇒
税務調査の結末は二択
⇒
推計課税(更正):ただし青色取消しになる
or
修正申告:推計の計算に納得したうえで提出
現実的な税務調査を想定すれば、
調査官は「青色取消し ⇒ 更正」を処理することが
面倒であること、一方で納税者側としては
過去遡及されて青色取消しされる(+その後
数年は青色申告に戻れない)デメリットが
大きいことから、推計課税(更正)ではなく
修正申告になる調査事案がほとんどでしょう。
なお、最終的に修正申告になるとはいえ、
推計による所得の計算は、想定以上に
所得(と税額)が多額になるケースが多いです。
実際には「そんな儲かってないから貯金がないんだ」
と言いたくなるケースがほとんどで、その場合
違う推計の方法を提案する、経常的な経費を
追加的に認めさせるなど、安易に調査官の
提示額を受け入れない方がいいでしょう。
さて、上記のとおり、あくまでも「推計課税」
とは更正されることが前提なのですが、では
(継続関与していない)納税者から無申告
=数年分の期限後申告の対応を求められたが、
原資資料などが無く申告にあたって実額計算が
できない場合、推計による申告書作成・提出は
認められるのかについて、実務的な視点で
次回の本ブログにおいて解説します。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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