5年分の修正申告・期限後申告で6・7年前の遡及はされないのか?
※2025年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回の本ブログでは、修正申告や
期限後申告を自主的に提出する場合は、
最大でも5年分しか提出できない
(6・7年前は提出できない)ことについて、
その根拠を含めて解説しました。
ここで大きな懸念が生じることになります。
それは「5年分の修正申告・期限後申告を
提出した後に税務調査が入り6~7年前に遡及、
重加算税が課されないのか」というものです。
自主的に修正申告・期限後申告を提出する目的は
適正な自主申告(本税の是正)は当然ながら、
税務調査で無為な加算税を課されないためでも
ありますから、この目的が達成できない
懸念があるというわけです。
結論から書くと、この懸念は当たっていて
自主的な修正申告・期限後申告を5年分提出しても
その後の税務調査で6~7年前に遡及される
(重加算税など)リスクは残ります。
これは税制上の大きな矛盾なのですが、
論理的には下記となります。
過去の申告内容を見直したところ誤りがあった、
もしくは無申告なので5年分を提出
⇒
その後、税務調査が入った
⇒
調査対象期間の申告内容に誤り・漏れがあった
(調査対象期間を延伸する要件を満たしている)
⇒
調査官から6~7年前の資料等も提示するように
要請された(これは断ることができません)
⇒
6~7年前の年分に「偽りその他不正の行為」
+「隠蔽・仮装行為」があった場合、この年分で
修正申告・期限後申告の提出が必要で、
かつ重加算税が課されてしまう(調査での
加算税なので35%か40%になってしまう)
このリスクが顕在化する分岐点は2つあります。
●調査対象期間が延伸される要件を満たすこと
この具体的な要件については下記を参照ください。
「税務調査の対象期間は何年なのか?(期間の延伸)」
https://kachiel.jp/blog/%E7%A8%8E%E5%8B%99%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%AF%E4%BD%95%E5%B9%B4%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%EF%BC%88%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%AE%E5%BB%B6%E4%BC%B8/
このことから、自主的な修正申告・期限後申告を
提出する場合、その内容に誤り・漏れがないかを
今一度注意深く精査する必要があります。
●6~7年前に「偽りその他不正の行為」がないか
調査対象期間である3年分もしくは5年分の中に
たとえ偽りその他不正の行為があったとしても、
6~7年前に偽りその他不正の行為がなければ
7年遡及にはなりません(偽りその他不正の行為が
なければ6~7年前の修正申告・期限後申告を
提出する必要はありません=課税権はない)。
この点については下記を参照してください。
「3年分に脱税行為があれば7年分の修正申告が必要なのか?」
https://kachiel.jp/blog/%EF%BC%93%E5%B9%B4%E5%88%86%E3%81%AB%E8%84%B1%E7%A8%8E%E8%A1%8C%E7%82%BA%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8C%E3%81%B0%EF%BC%97%E5%B9%B4%E5%88%86%E3%81%AE%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E7%94%B3%E5%91%8A%E3%81%8C%E5%BF%85/
前回を含めたここまでの論点について整理し、
併せて注意事項を付記しておきます。
・自主的に修正申告・期限後申告については
最大5年分(6年以上前の申告はできない)
・ただし、税務調査において6~7年前に
遡及されてしまうリスクは残る
(あくまでも上記の要件を満たす場合です)
・6~7年前に遡及されると新たな本税が
発生するのみならず、重加算税が課されると
35%(無申告の場合は40%)+延滞税が高い
ことから追徴税額全体はかなり高額になりがち
・6年以上前に誤りや漏れがある、もしくは
無申告の場合、法律上5年分の(自主的な)
修正申告・期限後申告しか提出できないが、
税務調査になれば7年遡及になり得るという
リスクについては顧問先に対し事前に説明が必要
さて、次回の本ブログでは
所得税申告における必要経費・家事関連費の区分、
およびその立証責任について解説します。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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