• HOME
  •  › ブログ
  •  › 自社株贈与時における借地権計上の可否
2026.09.17

自社株贈与時における借地権計上の可否

※2025年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回は、
「自社株贈与時における借地権計上の可否」
を解説します。

以前にご紹介した
「取引相場のない株式評価に関する検討7 ~純資産株価~」
につき、
贈与税申告時の株価評価に関するご質問をいただきましたので
解説したいと思います。

例:
土地所有者:個人(社長)
建物所有者:法人
借地権の設定:平成15年
無償返還届出:提出済
評価対象地の借地権割合:60%
通常の地代:240万円
相当の地代:600万円
実際の地代:240万円
土地の自用地価額:1億円(※)
借地権設定時から不変
権利金の授受:無
被相続人:社長
株式所有者:社長100%

(1)借地権設定時
土地の賃貸借契約があるため、借地権の設定等として
無償返還届出書の提出済み。

結果、権利金の認定課税は回避されます
(法基通13ー1ー7(権利金の認定見合せ))。

また、同通達では、使用貸借であっても賃貸借と同様、
無償返還届出が提出されていれば、
権利金の認定課税が回避されることが明示されています。

(2)被相続人の相続発生時
無償返還届出書が提出されているので、
借地権評価額は零(ゼロ)となります。

個別通達:相当の地代を支払っている場合等の
借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm
5 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額

また、貸宅地の評価額は以下のとおりです。
8 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価

自用地としての価額 ー 0.8 =8,000万円

土地について賃貸借契約を締結していますので
相続税実務としては、当該貸宅地につき、
小規模宅地等の特例適用
(特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等)
を続いて検討することになります。

さらに、純資産株価に借地権2,000万円を
計上するケースがあります。

根拠は同通達8によります。
―――
・・・。
なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けている場合には、43年直資3ー22通達の
適用があることに留意する。この場合において、
同通達中「相当の地代を収受している」とあるのは
「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」
と読み替えるものとする。
―――

「被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けている場合においては、」となっていることが
借地権20%計上するための前提条件になります。

これを本ケースに当てはめると以下のとおりです。

被相続人(社長)が
同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けて「いる」ため
借地権20%を純資産価額に計上することになります。

ここからが、本日の本題です。
仮に、上記社長(父)相続時の
遺産分割での内容が以下であったとします。

妻(配偶者)が以下を相続
「自社株100%」
「法人建物の敷地」

また、妻が相続した自社株を後継者である長男に贈与し
長男が相続時精算課税を選択したとします。

その際の自社株評価では、相続時と同様、
借地権20%を純資産株価に計上しなければならないのでしょうか。

この疑問は、以下通達が相続について定めているものであり
贈与については、適用されないのではないかというものです。
―――
個別通達:相当の地代を支払っている場合等の
借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm
8 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価
―――

上記疑問については、
贈与時であっても同通達が適用されるものと解されています。

以下、公表裁決は「相当の地代方式」を前提にした
相当地代通達6の注書の適用が争われ、納税者敗訴、
つまり、純資産株価への借地権20%の計上が
求められることになりました。

国税不服審判所 平成27年3月25日公表裁決
https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0703000000.html#a90

無償返還届出方式の場合を定めた「同通達8」も
同様の趣旨と考えられますので、
贈与時であっても相続の場合と同様、
純資産株価への借地権20%の計上が必要になると考えられます。

また、仮に、上記社長(父)相続時の
遺産分割での内容が以下であったとします。

妻(配偶者)が「自社株100%」を相続
後継者である長男が「法人建物の敷地」を相続し

その後、
妻が相続した自社株を後継者である長男に贈与し
長男が相続時精算課税を選択したとします。

この場合には、
株式所有者(妻)≠法人建物の敷地の所有者(長男)
であるため、
贈与時であっても相続の場合と同様、
純資産株価への借地権20%の計上が不要になると考えられます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。