調査前に元帳を提出する加算税の不利益
※2025年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回の本ブログでは「税務調査初日前の
元帳提出要請にどう対応すべきか?」について
解説しましたが、今回は調査初日前に元帳を提出する
ことによる「不利益=加算税」を取り上げます。
まず、原則的な考え方から整理しましょう。
事前通知(調査通知)後~調査初日(実地調査)前
の期間において、(自主)修正申告を提出した場合、
過少申告加算税は10%⇒5%に減免される
(重加算税は課されない)ことになります。
これは、国税通則法第65条第6項によって
「更正の予知」に該当するからで、【調査前】の
(自主)修正申告は過少申告加算税が10%に
ならない旨が規定されています。
「税務調査開始後の修正申告はいつの段階で
加算税が課されるのか?(前半)」
https://kachiel.jp/?p=45571
さて、ここで調査官の要請に応えて
調査前に元帳を提出した場合の加算税は
どうなるのでしょうか。時系列は下記です。
事前通知(調査通知)
⇒
元帳提出(手渡し or 郵送 or e-Tax)
⇒
(自主)修正申告を提出
⇒
調査初日(臨場=実地調査の開始)
このケースにおいては(自主)修正申告に対し
10%の過少申告加算税が課されることになります。
なぜなら、【元帳を提出=調査官が
質問検査権を行使している=調査が開始】
と解釈・事実認定されるからです。
ここでよくある勘違いは「調査初日=調査官が臨場
=調査の開始」というものですが、これは
あくまでも「実地の調査」の開始であり、
更正の予知のトリガーとなる「調査」とは
臨場を伴わない場合も含む広い行為を指します。
国税通則法第7章の2(国税の調査)等
関係通達の制定について(法令解釈通達)
1-1(「調査」の意義)
法第7章の2において、「調査」とは、国税
(法第74条の2から法第74条の6までに掲げる税目に限る。)
に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の
課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に
関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う
一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、
法令の解釈適用など)をいう。
「調査と実地の調査における手続きの違い」
https://kachiel.jp/?p=40387
以上から、事前通知後~調査初日前の間に
誤りや漏れに気付き、修正申告を提出することを
想定した場合においては、原則として
調査初日前までに提出すれば加算税は5%と
なりますが、一方で事前に元帳提出をした後に
修正申告を提出すれば加算税は10%となります。
この点からも、調査官による調査前の元帳提出
要請に応える実益はないことがわかるでしょう。
事前の修正申告=加算税の減免まで考慮したうえで
元帳提出要請に応じるかを判断する必要があります。
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