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2026.10.15

相続時精算課税における相続税の納付義務の承継の論点整理(1)

※2025年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回は、
「相続時精算課税における相続税の納付義務の承継の論点整理(1)」
を解説します。

相続時精算課税制度は受贈者の選択によりスタートします
(相法21の9)。

相続時精算課税のデメリットとして以下がよく上げられます。
1.一度選択した場合、撤回することができない(相法21の9(6))
2.贈与した財産の評価額が贈与時よりも相続時の方が下がる
3.特定贈与者よりも先に相続時精算課税適用者が亡くなった場合における
  「納税に関する権利又は義務の承継」(相法21の17、21の18)

今回は、上記3を解説していきます。

簡単な事例です。

家族構成:
父、母(既に他界)、長男(妻とは離婚)、長男の子(孫)

時系列と税額計算:
1.令和元年1月、父が長男に自社株1億円贈与
→ 長男は期限内申告書とともに相続時精算課税選択届出書を提出
→ 贈与税1,500万円=(1億円-2,500万円)×20% 納付済

2.令和3年11月、長男の相続開始
→ 相続財産と相続税は以下のとおり
  (1)自社株1.5億円(贈与時より5,000万円上昇)
  (2)その他財産2.5億円(母の一次相続で財産取得等)
     相続税1.4億円=(4億円ー3,600万円)×50%ー4,200万円

3.令和6年11月、父の相続開始(相続人は孫1人)
→ 相続財産と相続税は以下のとおり
  (1)預金等5,000万円
  (5,000万円+1億円(贈与時の自社株評価)ー3,600万円)
   ×40%ー1,700万円=2,860万円
  2,860万円-1,500万円(贈与税額控除)=1,360万円
  代襲相続なので2割加算なし

■検証(仮に自社株贈与しなかった場合との比較)
(1)父が長男に自社株贈与しないケース
父から孫へダイレクトに代襲相続され
相続税は1回課税されるだけでした。
父の相続時における評価額1.5億円に対する相続税課税のみ。

(2)父が長男に自社株贈与したケース(本件)
父から長男へ贈与し、長男が相続時精算課税を選択した事で
自社株については二重課税の状態になってしまっています。
1回目の課税:長男の相続財産として相続税課税
2回目の課税:父の相続時に贈与財産の精算として相続税課税

つまり、相続時精算課税を選択する贈与をしなければ
良かったという結論になってしまいます。

■相続時精算課税選択時におけるリスク説明
現預金贈与であれば、受贈者側で全て消費してしまうと
二重課税にはならないことになりますが、
受贈者の相続時に財産が消費されずに残っている場合には
二重課税されてしまう結果となります。

そのため、、特定贈与者よりも受贈者が先に
相続発生した場合、デメリットが生じる旨の説明は必須になります。

通常であれば、親よりも子が先に亡くなるケースは想定しづらい
ですが、将来の不確実性は税理士が管理できるものではありませので
税理士としてのリスク説明としては必須と考えます。

次回も、この論点を取り上げて解説していきます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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